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2001 年度 実績報告書

19世紀前半イギリスの救貧法論争とジェレミー・ベンサムの救貧改革構想

研究課題

研究課題/領域番号 13893001
研究機関早稲田大学

研究代表者

渡会 勝義  早稲田大学, 政治経済学部, 教授 (80097196)

研究分担者 堂目 卓生  大阪大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (70202207)
有江 大介  横浜国立大学, 経済学部, 教授 (40175980)
深貝 保則  東京都立大学, 経済学部, 教授 (00165242)
キーワードベンサム / 功利主義 / 救貧法 / 行政改革 / 貧困
研究概要

ベンサムは『高利の擁護』において、企業者の役割に着目してスミス的な富裕増進論に修正を試みた。だが、1790年代半ば以降、飢餓の深刻化やイングランド銀行の兌換停止、対仏戦争といった事態を受けて、ベンサムの経済に関する関心は変化する。とりわけ第一に、ベンサムは飢餓の進展のなかで救貧制度の改革を構想した。犯罪人に勤労の習慣をつけさせるパノプティコンを応用する救貧パノプティコンのプランを作り、1797年に国民慈善会社のアイデアを提供した。『道徳と立法の諸原理序説』では自己利益の判断をできる諸個人を想定したが、現実には判断能力に欠けるさまざまな人がいることをベンサムは熟知していて、貧民の詳細な分類をしている。その分類は、怪我、障害、老齢などのほか、勤労意欲の欠如・アルコール依存など、多岐にわたる。ベンサムにとって、救貧行政の改革や教育の整備を進め、貧民のそれぞれの実情にあったさまざまな訓練の機会を設けることにより、自己利益を判断できて勤労意欲を持つ人々の数を増やしていくことこそが、国民的富裕の増進にとっても不可欠な処方箋であった。第二に、ベンサムは『真の警鐘』(1801)において、紙券通貨の価値変動が経済にどのような撹乱をもたらすのかを分析した。通貨の安定性が欠けると、債権者と債務者との間で不均等な効果を持つことをはじめとして、諸個人が経済行為を決断する上での「期待」を揺るがすことになるからである。この企画研究では、マルサスを中心とした神学的経済学の観点から救貧問題にアプローチしているウォーターマン教授(カナダ)、不平等の問題に関する考察もあるコト教授(フランス)、ベンサム経済論の研究書をフランス語で刊行したシゴ教授(フランス)らを招き、ロンドン大学ベンサム・プロジェクトのメンバーらとともに共同研究のセミナーを数次にわたって行なった。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] 渡会 勝義: "市場社会における貧困と過剰 T.R.マルサス"高哲男編『自由と統治の経済思想史』名古屋大学出版会. (2002)

  • [文献書誌] 深貝 保則: "Bentham and Malthus on Wealth and Population"History of Economics Society Conference. 24 (2001)

  • [文献書誌] 深貝 保則: "Joseph Townsend and Jeremy Bentham on Wealth, Population and Pauperism"History of Economic Thought Conference. 32 (2001)

  • [文献書誌] 深貝 保則: "怠惰な食民・機会なき貧民・目覚めに誘われる貧民"日英教育研究フォーラム. 5. 7-18 (2001)

  • [文献書誌] 深貝 保則: "功利主義的統治と経済的自由主義-ベンサムとミル-"高哲男編『自由と統治の経済思想史』名古屋大学出版会. (未定). (2002)

  • [文献書誌] 有江 大介: "水田洋編Adam Smith's Library : a catalogueをめぐって"18世紀学会年報. (未定). (2002)

  • [文献書誌] Takuo Dome: "The Political Economy of Public Finance in Britain 1767-1873"Osaka University, mimeo. 233 (2001)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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