研究分担者 |
浜岡 建城 京都府立医科大学, 小児疾患研究施設, 教授 (60189602)
小川 俊一 日本医科大学, 医学部, 助教授 (50194436)
中村 好一 自治医科大学, 医学部, 教授 (50217915)
越後 茂之 国立循環器病センター, 小児科, 部長
寺井 勝 千葉大学, 医学部, 講師 (80207472)
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研究概要 |
本研究の目的は,川崎病冠動脈病変に対するカテーテル治療の遠隔期成績,特に再狭窄の発生率と出現時期について多施設による検討を行うことであった.当初の計画案どおりに,まず国内で川崎病のカテーテル治療を積極的に行っている施設を選出し,これまでの川崎病カテーテル治療件数を調査した.次により詳細な項目として,用いられたデバイスの種類,急性期成績,急性期合併症,フォローアップ期間,最終受診,最終受診時における虚血性病変の有無およびその検出方法,抗血栓・抗血小板療法,遠隔期合併症の有無,などを調査した.最終的にカテーテル治療を,冠動脈バルーン血管形成術(PTCA), Rotational ablation(PTCRA), Stent留置術(Stent)の3群に分け,比較検討した. 治療成績の安定した1990年1月より2001年8月までの治療例を対象とし,さらに3ヶ月以上フォローアップされた例を検討した.最終的に10施設より88症例が報告され,計101回のカテーテル治療が検討された.内訳はPTCA :22回,PTCRA :68回,stent :11回であり,5年非再狭窄率はそれぞれ66%,69%,91%であった.Stentは他の2群と比べ,有意に高い長期開存率を示していた.PTCA群はPTCRA群に比し有意に早期再狭窄率が高く,再狭窄の多くは治療早期に血栓性閉塞していた. 以上の結果より,川崎病に対するかテーテル治療は完全なものではないにしろ成人の冠動脈カテーテル治療成績と同等もしくはそれ以上の治療成績であり,適切な治療法の選択と手技の向上により,さらに良好な治療成績を得ることが可能と結論した.以上の結果は第7回国際川崎病シンポジウムで発表した. 今後の研究展望として,より良好な長期開存率をえるため,合併症例の詳細な検討と治療後の至適抗血栓療法の確立が急務と考えられ,新たな調査研究の必要性が示唆された.
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