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2002 年度 実績報告書

細胞内物質輸送の分子機構;分子細胞生物学、構造生物学および分子遺伝学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 13CE2004
研究機関東京大学

研究代表者

廣川 信隆  東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20010085)

研究分担者 金井 克光  東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (80214427)
野田 泰子  東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (50262019)
中田 隆夫  東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (50218004)
竹田 扇  東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (20272429)
武井 陽介  東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (20272487)
キーワード分子モーター / KIFs / 物質輸送 / 微小管 / 神経科学 / 分子細胞生物学 / 分子遺伝学
研究概要

神経細胞をはじめとする細胞内物質輸送の分子機構の研究の成果として以下を明らかとした。
1)我々は、これまでKIF17が神経樹状突起に局在しKIF17-mLin10-mLin2-mLin7-NR2Bの結合を介し、NMDA型グルタミン受容体を輸送する可能性を示して来たが、今回これをin vivoで示した。KIF17にGFPを標識し培養海馬神経細胞に導入、KIF17結合膜小器官が主に樹上突起内を輸送されること、この小胞の30%にNMDA受容体が局在していること、KIF17の合成をAntisense法で抑制するあるいはKIF17の機能をモーター領域のないKIF17の過剰発現によるDominant negative実験で抑制すると樹状突起内NR2Bクラスターの局在が減少すること、またNR2Bの拮抗剤AP-Vを投与するとNR2Bの合成のみでなく、KIF17の合成も上昇することを示しKIF17が樹上突起内でNMDA受容体を輸送し、NR2BとKIF17が転写レベルでも相関があることを明らかとした。(J.Neurosci.23:131-140,2003)
2)KIF17の、生きた動物での機能、特に高次脳機能との関連を調べるため、GFPKIF17過剰発現マウスを作製しその行動解析を行ったところコントロールにくらべ空間記憶、作業記憶の向上が認められた。またこのマウスではKIF17の合成が上昇するのみならず、NR2Bの合成も増加、しかもKIF17、NR2BのmRNAの量も上昇し、リン酸化CREBも増加していた。このことからKIF17の増加→NR2B輸送の増加がシナプスでのシグナル伝達系を介してリン酸化CREBの増加そしてKIF17およびNR2Bのプロモーター領域のCREB認識配列を介してKIF17、NR2BのmRNAの合成の増加→記憶の向上というpositive feed backの存在を示唆した。(PNAS99:14500-14505,2002)
3)神経機能に重要なグルタミン酸受容体の内もう1種のAMPA型受容体の樹状突起内輸送がKIF5により行われていることを明らかにした。KIF5はKIF5 tail domainがGRIP1(Glutamate Receptor Interacting Protein 1)を介してAMPA型受容体に結合し、それを含む小胞を樹状突起内で輸送していることを明かとした。そしてKIF5は軽鎖にJSAP1が結合すると軸索方向の輸送を行い重鎖であるKIF5のtailにGRIP1が結合することで樹状突起方向へのAMPA型受容体の輸送の方向性決定に関与していることを明かとした。(Nature 417:83-87,2002)
4)C末モーター領域型KIFであるKIFC3がGolgi装置の細胞内での局在決定と形態維持に寄与していることをKIFC3遺伝子欠失マウスを作製、解析により明かとした。(J.Cell Biol.158:293-303,2002)
5)KIF17は、精子形成過程での遺伝子発現を制御する転写活性因子CREMの関連蛋白であり、転写活性化副因子であるACTに結合しACTを核外に移行させることにより、遺伝子発現を負に制御することを明らかにした。これによりモーター分子が遺伝子の転写制御にも関係していることが判明した。(Science 298:2388-2390,2002)
6)主要な微少管関連蛋白であり克つ樹状突起に特異に局在しているMAP2の機能を解析するため、MAP2の遺伝子欠失マウスの作製とその解析を通してMAP2が樹状突起でPKAを微小管にアンカーしておりPKAのシグナル伝達に関与していることおよび樹状突起の伸長をコントロールしていることを明かとした。(J.Cell Biol.157:541-549 2002)

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] Nakajima K., Y.Takei, Y.Tanaka, T.Nakagawa, T.Nakata, Y.Noda, M.Setou, N.Hirokawa: "Molecular motor KIFIC is not essential for mouse survival and motor-dependent retrograde Golgi apparatus-to-endoplasmic reticulum transport"Molecular and Cellular Biology. 22. 866-873 (2002)

  • [文献書誌] Setou, M., D-H.Seog, Y.Tanaka, Y.Kanai, Y.Takei, M.Kawagishi, N.Hirokawa: "Glutamate-receptor-interacting protein GRIP 1 directly steers kinesin to dendrites"Nature. 417. 83-87 (2002)

  • [文献書誌] Xu Y., S.Takeda, T.Nakata, Y.Noda, Y.Tanaka, N.Hirokawa: "Role of KIFC3 motor protein in Golgi positioning and integration"Journal of Cell Biology. 158. 293-303 (2002)

  • [文献書誌] Harada A., J.Teng, Y.Takei, K.Oguchi, N.Hirokawa: "MAP2 is required for dendrite elongation, PKA anchoring in dendrites, and proper PKA signal transduction"Journal of Cell Biology. 158. 541-549 (2002)

  • [文献書誌] W.-C.Wong R., M.Setou, J.Teng, Y.Takei, N.Hirokawa: "Overexpression of motor protein KIF17 enhances spatial and working memory in transgenic mice"Proceedings of the National Academy of Science of the USA. 99. 14500-14505 (2002)

  • [文献書誌] Tanaka Y., N.Hirokawa: "Mouse models of Charcot-Marie-Tooth disease"Trends in Genetics. 18. S39-S44 (2002)

  • [文献書誌] Macho B., S.Brancorsini, G.M.Fimia, M.Setou, N.Hirokawa, P.Sassone-Corci: "CREM-dependent transcription in male germ cells controlled by a kinesin"Science. 298. 2388-2390 (2002)

  • [文献書誌] L.Guillaud, S.Mitsutoshi, N.Hirokawa: "KIF17 dynamics and regulation of NR2B trafficking in hippocampal neurons"Journal of Neuroscience. 23. 131-140 (2003)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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