研究課題
世界一の超高齢社会である日本は、医療と介護の分野で技術・制度の革新をめざしているが、豊かな老後を過ごしたのちに安らかな最期を迎えることを究極の目標とする高齢者ヘルスケアでは、人と人との間柄に結ばれる人間的な心的交流が基本である。高齢者ヘルスケアの基盤を支える人と人との心の交流は、日本の医療・介護現場では近年後退しており、むしろアジア伝統社会のなかにその存在を見いだすことができる。本研究では、仏教ネットワークに基づく地域介護と近代的医療・介護制度を折衷しようとしているタイにおいて比較研究対象フィールドを設定し、日本がこれまで培ってきたヘルスケアに関する経験と科学知を伝え、逆に、日本とは文化・社会背景の異なるタイ地域の在来智を学ぶことにある。平成25年1月から3月にかけて、Kwanchit氏は、バンコク在住の65歳以上の高齢者324名についてインタビュー調査を実施した。インタビュー項目は下記である。1)疾病診断、血圧測定、Body Mass Index評価、血糖値測定、2)日常生活機能評価(Activities of Daily Living: ADL)、3)老健式活動能力指標、抑うつ評価(15-Item Geriatric Depression Scale)、5)主観的Quality of Lifeの評価 6)社会的背景、経済状況評価(居住環境、婚姻状況、収入、家族関係)、7)仏教寺院へのアクセスの程度評価その結果、バンコク在住高齢者において、仏教寺院へのネットワーク参加者は、非参加者に比して、他のConfounding factorsを調整しても、日常生活自立度ならびに主観的健康度、主観的幸福度が高いことが実証された。本研究から、仏教国タイでは、高齢者ヘルスケア-の一貫として仏教寺院のネットワークの活用が有用であることが実証された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Geriatr Gerontolo Int.
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10.1111/ggi.12421