研究課題
外国人特別研究員のOliver Belarga氏は、博士論文執筆中に遭遇した東日本大震災の被災地において、緊急期から細やかに障がい者のケアをしている状況に大きな感銘を受け、母国フィリピンに応用したいと切望し本研究が始まった。指導教官であった中村安秀大阪大学大学院人間科学研究科教授との共同により、東日本大震災で被災した東北地域における障がい者のための防災計画、ガイドラインや避難訓練成功例や課題を関する現地調査を行い、障がい者自身の被災体験とともに地域における支援団体や住民の活動や貢献をまとめ、東日本大震災で日本が得た教訓を分析することにより、自然災害の多発地域であるフィリピンに応用可能性を検討した。その結果、以下のような知見と考察を得た。災害からの被害の程度を最小限にするためには、自助、互助、公助(コミュニティのサポート)が重要である。従って、コミュニティ行動計画をベースとした訓練は、地域社会の問題解決能力を向上させる。また、災害は予測不可能であるため、プロジェクトや災害に対する人々の意識を維持することが重要である。また、政府、非政府組織、地方政府や自治体との調整が必要である。とくに、市民社会が中心になったコミュニティに基盤を置いた防災文化は、災害軽減のための重要な役割をはたす。災害のリスクが高い国々の学校カリキュラムやコミュニティ活動に統合することが必要である。また、災害時の障がい者のためのプロジェクトは、中央政府の政策と地方レベルのニーズが一致する必要がある。地方政府や地域で活動するNGOのリーダーシップと持続可能性を弱体化しないように、中央の障がい者政策フレームを柔軟に改訂することが求められている。本研究の成果は、アジア平和人道支援会議(2015年:広島)、アジア太平洋若手研究者会議(オーストラリア国立大学:2015年)などで発表し、現在は印刷中である。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
International Contemporary Research Journal in Social Science
巻: 2 ページ: 15-22
Human and Social Sciences Online
巻: Vol 3. Issue No. 1 ページ: 90-93
10.18638/hassacc.2015.3.1