研究課題
本研究の目的は,美的知覚の心理・神経基盤を探求することであった.まず,前年度に引き続き,fMRIを用いて,絵画作品における発見の喜びに対応するヒト後頭葉から側頭葉に至る領域の応答を調べる実験を行った.これまでに,だまし絵として隠された内容が明らかになった時に側頭葉の海馬傍回場所領域(PPA)が特異的な反応を示すことを示した.昨年度より,統制条件として美的な喜びを伴わない発見においては目立った応答が得られないことを示してきたが,データをまとめて2014年8月の欧州視覚会議(ECVP)において,Stevanov研究員が口頭発表にて報告した.また,これまでの成果と合わせて2014年11月にSociety for Neuroscienceにてポスター発表を行った.現在,引き続きこれらの成果を論文としてまとめる作業を行っている.並行して,UNSW AustraliaのB. Spehar准教授と美的知覚を支える基礎画像要素に関する心理実験を行った.ノイズ画像の空間周波数スペクトルを操作し,参加者の評定と選好を調べた結果,特定の振幅スペクトル分布パタン(分布の傾き)と選好の関係が示された.結果は上記ECVPのサテライト会議(2nd VSAC)および2015年1月の日本視覚学会大会にてStevanov研究員が口頭発表を行った.これらの成果を総合して,空間周波数分布の違いが大脳関連領野においてどのように表現されるかを調べるfMRI実験研究を企画した.L. Talas博士(英国ブリストル大学在学),M. Furlan博士(英国ロイヤルホロウェイ博士研究員)の支援を得て予備的調査まで完了し,引き続き京都大学にて実験研究を行う予定である.
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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