研究課題/領域番号 |
13F03036
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
依光 英樹 京都大学, 理学研究科, 准教授
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研究分担者 |
DHANANJAYAN Vasu 京都大学, 理学研究科, 外国人特別研員
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キーワード | ポルフィリン / ベンゾチオフェン / トリフェニレン / パラジウム触媒 |
研究概要 |
ポルフィリンの高効率化学修飾を目指し、反応の効率化をまず検討した。当初の目的では、ポルフィリンを求核剤、ハロゲン化アリールを求電子剤とする直接アリール化を念頭におき、研究を進めていた。その中で、ハロゲン化アリールを求電子剤とする代わりに、より反応性が高いもののその不安定性ゆえにあまり注目されることのなかったアリールスルホニウム塩を用いて反応を検討したところ、極めて効率よく直接アリール化が進行することが明らかになった。 この発見に基づいて、アリールスルホニウム塩をうまく用いることができればポルフィリン同様極めて重要な芳香族化合物であるトリフェニレン母核を効率よく合成することができると考えた。すなわち、ジベンゾチオフェンから対応するスルホニウム塩を合成し、これをクロスカップリングと続くC-Hアリール化に賦すことでトリフェニレンを合成できると考えた。 実際、ベンゾチオフェンを4-クロロブチル化し、その後ナトリウムテトラアリールボラートとパラジウム触媒存在下に反応させると、前駆体となるターアリールが効率よく得られることが明らかになった。ボラートとスルホニウム塩のクロスカップリングは世界初である。 得られた生成物のクロロブチル基を環化させスルポニウム塩を合成した後、パラジウムSPhos触媒で処理したところ、目的の分子内直接アリール化が進行し、トリフェニレンを合成することができた。有機硫黄化合物を用いるCH活性化の世界初の例である。 これらの方法は、合成の困難なトリフェニレンの自在合成法であり、有機合成上その重要性は大きい。ポルフィリンへの適用や有機エレクトロニクスへの展開などその可能性は図り知れない。本研究の論文化を進めるとともに、今後も効率的反応の開発を目指して検討を進めたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ポルフィリンの効率的アリール化以外にもトリフェニレン合成という新たな展開を見せている。
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今後の研究の推進方策 |
トリフェニレン合成について論文執筆をを進めると。今後も引き続き研究計画通りに効率的反応の開発を目指して検討を進めたい。
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