研究課題
本研究では、がんを標的としたMRIの精度向上に向けて、酸化鉄微粒子やガドリニウムを内包したナノ微粒子型造影剤の開発を行っている。まず、前年度までに開発されたMRI造影剤Gd-DTPAを内包したリン酸カルシウム型高分子ミセル(以下、Gd-DTPA内包ミセル)に関して、ガドリニウムが中性子線の照射によってγ線を出すことに着目し、固形がんのガドリニウム中性子捕捉療法(GNCT)へと応用した。具体的には、マウス大腸がんC-26細胞の皮下移植モデルに対してGNCTによるがんの増殖抑制効果を評価した結果、Gd-DTPA単独では有意な治療効果は確認されなかったが、Gd-DTPA内包ミセルにより顕著な抗腫瘍効果を確認することができた。一方、酸化鉄微粒子(SPIO)のデリバリーシステムとしては、環状RGDペプチドを搭載した中空ナノ粒子PICsomeの開発を進めてきた。SPIO内包PICsomeを悪性脳腫瘍モデルのMRイメージングへと展開したところ、環状RGDペプチドの導入によって腫瘍血管特異的なMRI信号強度の変化が確認された。本システムは、PICsomeに種々の分子を同時に搭載できることから、マルチモーダルイメージングや診断-治療一体型システムへの応用が期待される。以上のように、本研究では、2種類のナノ微粒子型MRI造影剤を開発し、疾患モデルのイメージングを行うことに成功し、さらにGd-DTPA内包ミセルについてはGNCTにおける有用性を確認できたことから、当初目標を上回る成果が得られたものと考えている。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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