研究概要 |
近年, 医療用システムとして低コヒーレント光干渉を用いた断層画像診断技術, 光コヒーレンストモグラフィ(OCT)が注目されている. OCTを用いることで, 生体組織下数mmに渡って断層画像を容易に取得することができる. OCTの技術向上には幾つかの課題があり, その1つに高分解能化がある. この課題を解決するための手段として, フォトニック結晶ファイバ(PCF)を励起して得られるスーパーコンティニューム(SC)光がある. PCFを用いてSC光を発生させるための最適な条件は, PCFの高い非線形性とSC光帯域の中心波長でPCFがゼロ分散, またはゼロ近傍の正常分散を有していることである. さらに, OCTに用いるPCFはシングルモード動作をする必要がある. 現在, OCTで検討されている主な波長帯は, 眼科では0.83㎛, 皮膚科や消化器科では1.06㎛, 歯科では1.31㎛である. 本研究では, 歯科での応用が検討されている波長1.31㎛帯で, 高効率にSC光を発生させるため, PCFのコア部にゲルマニウム(Ge)を添加した高非線形六角形PCF, 高非線形四角形PCF及び高非線形八角形PCFの3種類を提案し, 有限差分法(FDM)を用いて数値解析し, 理論的に比較検討を行った. 各モデルの数値シミュレーションした結果より, 高非線形四角形PCFが最もよい特性を得ることができた. また, 高非線形四角形フォトニック結晶ファイバが波長1.31㎛帯において, 高い非線形性とゼロ近傍の正常分散を得ることができ, コヒーレンス長がスーパールミネッセントダイオード(SLD)より短くなることが分かった. 従って、歯科用の高分解能の光源として期待できることが確認できた.
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今後の研究の推進方策 |
本研究では, 歯科での応用が検討されている波長1.31μm帯で, 高効率にSC光を発生させるため, PCFのコア部にゲルマニウム(Ge)を添加した高非線形六角形PCF, 高非線形四角形PCF及び高非線形八角形PCFの3種類を提案し, 有限差分法(FDM)を用いて数値解析し, 理論的に比較検討を行っているが、今後, 皮膚科や消化器科では1.06μmや1.55μm帯についても検討する予定である。
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