研究課題/領域番号 |
13F03073
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
依田 憲 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授
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研究分担者 |
MULLER Martina 名古屋大学, 環境学研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | 海洋生態 / 生態学 / 個性 / 環境変動 / バイオロギング |
研究概要 |
本研究では、海鳥類にデータロガーを装着して行動を追跡すると同時に生理的パラメータの取得を行い、変動する海洋環境に対する生理的・行動的な適応や個性を明らかにすることを目的としている。近年、野生動物の個性について注目されているが、日常的に数百キロメートル移動する野生動物の採餌・移動行動と個性の関係はほとんど分かっていない。本年度は、新潟県の粟島で繁殖するオオミズナギドリの採餌行動と個性との関係を明らかにするために、親鳥にGPSデータロガーを装着し、54羽からGPSの移動データ(1分間隔)を得ることに成功した。GPSの装着は雛に給餌するために帰巣している親鳥に対して行い、10日後以降に再度帰巣したところを再捕獲した。データをコンピュータにダウンロードし、採餌トリップ長、最大到達距離、総移動距離、採餌域などをArcGIS (ESRI)を用いて解析した。さらに、移動経路を記録した親鳥のうち、9月24日から10月23日にかけて31羽(雄16羽、雌15羽)を選び、繁殖地内に設置したケージに入れて様々な刺激(同種の鳴き声を聞かせる、光を当てる等)を与えた。本種は夜間に繁殖地で行動するため、行動実験は夜間行い、赤外線カメラを用いて反応を記録した。また、9月30日から10月23日にかけて、雛33羽に対して行動実験を行なった。雛に対しては、鏡像に対してどのような反応を示すか等を観察した。個体ごとに繰り返し行動実験を行うことによって、攻撃性や臆病さなどに明確な個体差があることが分かってきた。今後は、親鳥と雛の個性がGPSで得られた採餌行動や海洋環境とどのように関わっているのかを明らかにしていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
外国人特別研究員の来日が遅れたため、研究開始がやや遅れたものの(2013.8.27より開始)、その後集中的に野外調査を行うことによって大量のデータを得ることに成功した。ただし、それらに対して充分な解析を終えたとは言いがたい。今後、ビデオ解析や移動経路解析を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
多くのデータを得たが、個性と採餌行動の関連については未解析である。今後はこの点を重点的に進める。また、平成26年度にも予定通り同様の調査を進め、環境の年変化の影響についても考察を進める。
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