本研究では、海鳥類にデータロガーを装着して行動を追跡すると同時に生理的パラメータの取得を行い、変動する海洋環境に対する生理的・行動的な適応や性格を明らかにすることを目的としている。平成26年度は、新潟県の粟島で繁殖するオオミズナギドリ(Calonectris leucomelas)の性格を定量化し、性格と関連する生理的要因を明らかにするために、心電図データロガーを用いて約100個体のオオミズナギドリの心電図を計測し、同一個体から性格形質を繰り返し計測した。性格を定量化するために、行動を赤外線ビデオカメラで撮影しながら、探索行動、雌雄の鳴き声に対する反応、逃避行動等を記録した。また、活動量を定量化するために、小型の加速度データロガーを装着した。また、ストレス指標となるコルチコステロンを計測するため、血液を採取した。行動データを解析した結果、相関する行動形質が存在しており、オオミズナギドリに性格があることが示唆された。現在、心電図をスペクトル解析しており、個体の性格差を生み出す生理的要因の特定を進めている。また、ホルモン解析を進め、心電図に現れる短期的ストレスと、コルチコステロン値に現れる中期的なストレスとの関連を明らかにする予定である。最終的には、昨年度GPSデータロガーを装着することで得られた海洋での採餌移動データと性格データと合わせて議論し、海鳥類の性格と生理、採餌行動の関連について明らかにする。
|