研究課題
①今年度は2頭のツパイの全ゲノム配列を決定した。またこれらの遺伝子配列に基づいて自然免疫や獲得免疫を担うTLR分子群やSTAT, IRF、サイトカイン、ケモカイン、各種CDマーカー分子等のcDNA配列(100種以上)を決定した。またこれらの配列に基づきペプチド抗体も作成した。②①で作成した抗体を用いてツパイにおける免疫反応の解析が可能になった。今後FACSを利用してウイルス感染後のツパイの免疫反応の解析を行う。これにより、詳細なウイルス病原性の解析や薬剤効果の評価が可能となる。③ツパイに対しB型肝炎ウイルス(HBV)を感染させたところ、新生児に接種した場合には持続感染が成立する事が明らかとなった。さらに接種法を検討して効率良く持続感染する方法を確立する。また、C型肝炎ウイルス(HCV)は、遺伝子型の1b, 2a, 4aを成獣に接種して感染が成立したが、血中ウイルス価の変動が見られ持続的に高いウイルス価を示す個体が見られなかった。そこで免疫系があまり確立していない新生児にHCVを接種して持続感染系の確立を試みる。④次年度以降は①、②に関しさらに解析を進め、効率良くHCV, HBVが感染するツパイ系を確立する。また、試験管内で抗ウイルス効果が認められた薬剤(抗酸化剤、天然物、阻害剤、TLRアゴニストなど)や治療ワクチン等をHBV, HCV感染ツパイに投与し、ウイルスやその病原性への効果を明らかにする。効果の認められた候補物質に関しては前臨床へ向けて応用を進める。
1: 当初の計画以上に進展している
ツパイの2匹の全ゲノム解析が終了し、それらの情報に基づいて100種以上の抗体を作成するなど当初の計画以上に進展している。
・HBV, HCVをツパイの新生児に接種し、より効率の良い持続感染系を確立する。・ツパイ免疫解析系を確立し、ウイルスの病原性解析や薬剤の効果判定を可能にする。・抗ウイルス効果のある候補物質をスクリーニングによって得る。有効なものは応用に向けて研究を進める。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 3件)
Journal of Medical Virology
巻: 86 ページ: 925-32
10.1002/jmv.23916
PLoS One
巻: 9(3) ページ: e91373
10.1371/jounal.pone.0091373.
Gastroenterology
巻: 145(4) ページ: 865-79
10.1053/j.gastro.2013.06.012.