研究課題/領域番号 |
13F03099
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
菅沼 成文 高知大学, 教育研究部医療学系, 教授
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研究分担者 |
MUZEMBO B.a. 高知大学, 医学部, 外国人特別研究員
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キーワード | 肺線維症 / インジウム / 免疫毒性 / 肺胞マクロファージ / 職業性呼吸器病 |
研究概要 |
職業性呼吸器病の中でも、今回我々が取り上げたのは、近年注目されるようになったインジウムによる肺障害である。インジウムによる肺障害は製造現場において死亡例が報告されたことをきっかけに重大性が認識されるようになり、曝露者の疫学調査と労働環境の整備が行われて来た。労働衛生上の管理体制は整備されて来たものの、その毒性学的な機序は十分に明らかにされていない。我々はインジウムによる肺障害の機序を解明するため、マウス肺胞マクロファージ、幼若な肺胞マクロファージ、脾細胞のセルラインにITOを投与して、電顕でその形態学的な観察を行うとともに、遊離されるサイトカインを測定した。 インジウムを投与により、マウス肺胞マクロファージは増殖が妨げられたのに対して、幼若な肺胞マクロファージ、脾細胞は増殖していた。アポトーシスは見られなかった。TNF-αの遊離は増加していたが、IL-10は大幅に減少した。 今回の結果から、ITOの投与により、肺胞マクロファージを介して、免疫反応が惹起されることが示され、これらが肺障害へと発展する可能性が示唆された。 こうした肺障害モデルを用いて、これまで肺障害におけるセレニウムの役割を検討して結果と比較検討を行い、酸化ストレスのコントロールと慢性炎症に関わる免疫反応との関連を検討する。これらの結果については、国内外の学会で発表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
特に大きな障害もなく、順調に実験が行われている。
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今後の研究の推進方策 |
動物実験を行い、これまで示された知見が生体内においても成り立つことを確認する予定である。また、インジウムに曝露されて、肺障害を発症した症例についての臨床情報と今回の知見を比較検討する共同研究を企画中である。
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