研究課題/領域番号 |
13F03100
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
横須賀 收 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授
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研究分担者 |
呉 霜 千葉大学, 大学院医学研究院, 外国人特別研究員
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キーワード | HBV / TNF / IL1B / NF-κB / IGFBP1 |
研究実績の概要 |
自然免疫反応はERストレス、インスリン抵抗性を始めとする代謝異常とお互いに交差反応することが知られているが、肝炎ウイルスとの関係はまだ十分に解明されていない。これまでに我々はLuciferase assay, PCR array及びWestern blottingなどの実験手法によって、Huh7を用いた検討でTNF及びIL1βの刺激によりHBVやHBxによるNF-κBの活性化の増強する結果を得た。またHepG2と比較し、HepG2.2.15細胞におけるPPAR-alpha、XBP1、PIK3R1、IGFBP1、APOA1、DGAT2およびGKmRNA発現が有意な上昇を認めた。また、ヒト肝生検標本を用いてIGFBP1の発現を免疫組織学的に検討すると、その発現は原発性胆汁性肝硬変<B型肝炎<脂肪肝と増加する傾向を認めた。そこで今年度は、PCR arrayでのスクリーニングによって抽出された遺伝子PPARa、IGFBP1、ERK2、PI3Kなどの遺伝子の発現についてHBV感染を行ったヒトマウスキメラ肝細胞PXBにて検討を行った。HBV感染1カ月目のPXB細胞を用いて検討(HBV DNA~5logIU/mL, HBsAg陽性)すると、PPARa、IGFBP1、ERK2の発現がHBV感染により増加する傾向を確認した。更に、IGFBP1のreporter assayを行い、IGFBP1プロモーター活性がHBxによって増強されることを明らかにした。今後HBVやHBxがIGFBP1を含む代謝関連因子に与える影響を検討し、更に肝自然免疫や発癌に与える影響等を検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
B型肝炎ウイルスおよびC型肝炎ウイルスが自然免疫、ERストレスおよびインスリン抵抗性を介した肝発癌に対する影響を検討し、新たな治療法開発に繋げることを目的としている。TNF存在下, 非存在下におけるHBVによるNF-κB活性化に関する検討を行い、また、PCR arrayを用いてERストレス関連および代謝関連遺伝子の発現の差異も確認した。さらに、ヒトマウスキメラ肝細胞PXB細胞にHBVを感染させることによりHBVの感染状態とそれぞれの遺伝子発現について、蛋白レベルで検討した。研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は肝癌細胞Huh7、HepG2、HepG2.2.15、及びHBV感染をおこなったヒトマウスキメラ肝細胞PXBを用いて肝自然免疫系と肝糖代謝シグナル伝達経路について検討を行なう予定である。
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