研究課題/領域番号 |
13F03206
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
齋藤 秀和 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノスピントロニクス研究センター, チーム長
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研究分担者 |
JEON Kun-rok 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノスピントロニクス研究センター, 外国人特別研究員
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キーワード | スピントランジスタ / スピン注入 / シリコン |
研究概要 |
将来に亘る継続的なエレクトロニクス技術の発展のために、より一層の素子の微細化を可能とする新たなテクノロジーが求められている。これを可能とする技術として、スピントランジスタに代表される半導体をベースとしたスピントロニクス素子・技術が注目されている。半導体中におけるスピン偏極電子の注入、制御および検出は半導体スピンデバイスの基盤技術であるため、近年、最重要半導体であるSiおよびGe基デバイスにおいて多くの研究が報告されている。しかしながら、スピン注入・検出効率およびスピン制御に関しては、まだデバイス化レベルには達していない。本研究では、SiおよびGeにおいてスピン注入・検出効率の改善および新奇スピン制御技術の確立を目的とする。 従来、強磁性体から半導体へのスピン入力には、専らスピンを電荷(電流)と共に直接流す手法が用いられてきた。ここで、もし電流を用いることなくスピン情報を半導体に注入することができれば、スピントランジスタの更なる省電力化に繋がるはずである。このようなモチベーションの下、本年度は電流フリーのスピン注入技術の開発を進めることとした。具体的には、我々の研究チームが発見した新現象である強磁性電極とSi間に熱勾配を設けるだけでSiへのスピン注入が実現される「スピントンネル・ゼーベック効果」の外部電界による影響を調べた。その結果、スピントンネル・ゼーベック効果によりSi中に生成したスピン信号強度を外部電界により制御することに成功した。更に、観測した電界効果の生ずるメカニズムの解明にも成功した。この成果は世界で最も権威のある雑誌の一つであるNature Materials誌へ掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
目標の一つであった半導体SiおよびGe中に注入されたスピンの電界制御を達成することができ、Nature Materials誌への掲載に繋がった。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きSiおよびGeを用いたスピントランシスタ応用に向けて、新奇なスピン検出用素子を作製し、高効率のスピン検出の実証実験を行う。具体的には、本年度は電子線リソグラフィ装置等を用いて微小ギャップを有する強磁性コンタクトをSiやGe上を作製し、それらを用いて半導体バルク中を輸送後のスピン検出実験を行う。
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