研究概要 |
本研究では、3次元振動試験等により、振動衝撃、荷重などの物理ストレス条件が、ブロッコリーの損傷発生と品質低下の程度に及ぼす影響を明らかにすることを第一の目的とする。加えて、これらの物理ストレスによる損傷発生、および品質劣化の軽減に対するMA包装の効果を、定量的に評価することを目的とする。 3次元振動試験機を用いて、JIS Z 232を参考に、ブロッコリーに5種類の包装条件を施して、掃引振動(振動加速度5.22m/s2、周波数範囲5~25Hz)を2時間処理した。振動処理直後および保存後のブロッコリーから、以下の品質評価で用いる試料をサンプリングした。次に、得られたサンプルを用いて、MA包装による、緩衝性能に基づく物理的損傷抑制効果、および、ガス組成修正に基づく品質保持効果の複合効果を評価した。評価結果より、ブロッコリーの個包装による輸送振動による損傷発生の軽減効果を確認した。さらに、MA包装を施すことにより、貯蔵中のブロッコリー花蕾の質量、クロロフィル含量、糖含量の変化が抑制されることを確認した。以上の結果から、MA包装は、輸送振動によるブロッコリーの損傷と品質変化を抑制する効果があることが実証された。さらに、凍結保存試料を用いて、定量的リアルタイムPCRにより、各種遺伝子(呼吸関連としてBoGAPDH, BoADH、エチレン生成関連としてBoERS, BoETR1, BoETR2, BoSAMS、クロロフィル分解関連としてBoCHL1, BoCHL2, BoCHL3、アスコルビン酸分解関連としてBoVTC1, BoVTC2, BoAPX2、ストレス応答関連としてBoPAL, BoCHS, BoLOX)の発現解析を実施した。加えて、主要な8サンプルについては、BrassicaオリゴDNAマイクロアレイを用いた網羅的遺伝子発現解析を実施し、データ解析を実施している。
|