研究実績の概要 |
目的:サルモネラ感染に対する感染防御は細胞性免疫が優位であると考えられているが、我々を始め複数の研究グループがマウスモデルにおいて、液性免疫応答も感染防御に関与していることを報告している。我々は、サルモネラ感染防御に関与する複数のモノクローナル抗体の作成に国内外の研究機関に先駆けて成功した。本研究は、サルモネラ感染防御に関与するモノクローナル抗体の機能解析を目的とする。 結果:本年度は、モノクローナル抗体(mAb, 449)を介した菌の排除機構の解明を実施した。449抗体とSalmonella enterica serovar Typhimurium (S. Typhimurium) を反応させた後に、マクロファージに感染させると、マクロファージ内のサイトカインの産生、NOの産生がコントロール抗体群および無処置群に比べて増加した。さらにマクロファージ内の菌数がコントロール抗体群および無処置群に比べて減少することを明らかにした。以上の結果から、我々が作成した、S. Typhimurium感染防御に関与するモノクローナル抗体449は、S. Typhimuriumと反応した後、マクロファージの活性化を促進させ、菌を排除していることが示唆された。また、他の血清型に対して、449抗体が感染防御を示すかどうか検討したところ、S. Abortusequi およびS. Paratyphi B に対しては感染防御能を示したが、S. CholeraesuisおよびS. Dublin に対しては感染防御能を示さなかった。以上の結果から、血清型の違いにより感染防御能が異なることが明らかとなった。
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