研究課題/領域番号 |
13F03301
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
藤目 ゆき 大阪大学, 人間科学研究科, 教授
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研究分担者 |
YANG Dongsook 大阪大学, 人間科学研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | 広島朝鮮人 / 広島朝鮮人被爆者 / 広島朝鮮人女性運動 / 広島朝鮮人女性被爆者 / 広島県朝鮮人被爆者協議会 / 在日本朝鮮人聯盟 / 李実根 / 北朝鮮被爆者 |
研究概要 |
研究成果は次のとおりである。 ①広島に於いて貴重な文献資料を発掘し、収集した。広島県'在日朝鮮人被爆者協議会'が1977年~78年に実施した朝鮮人被爆者に関連する名簿資料、広島の朝鮮人・日本人の女性運動、広島朝鮮人強制労働の現場であるコボダム関連資料などである。収集した資料はリストを作ってDBにまとめた。 ②広島で在韓被爆者を支援する日本市民団体の活動家、広島に居住する朝鮮人被爆者、朝鮮人被爆女性たちの聞き取り調査と対話を重ねた。その結果、広島県'朝鮮人被爆者協議会'元会長であった李実根と現理事長である金鎭湖、民団系の被爆女性である朴南珠、総連系の被爆女性である朴玉順などからは特に貴重な証言と示唆を得た。そしてまた、李実根の自叙伝を広島に居住する朝鮮人たちと共同で翻訳することに決定した。 ③広島朝鮮人史の研究者・大阪在住の在日朝鮮人との交流を重ね、広島朝鮮人史に対する資料を韓国語の解題集の形式で出版する意義を確認するに至り、解題集を共に執筆、出版することに決定した。2015年12月まで出版することを目標としている。 ④2015年に広島において被爆70周年を記念する全国女性史交流の集いの開催が提案されている。ひろしま女性学研究所において開催された全国女性史交流の集いの準備に関する女性史協議会に出席し、研究報告と提言を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究交流や史料収集について当初に計画した目標は基本的に達成することができた。さらに、来日の時点では想定していなかった翻訳書や史料解題書の出版計画が具体化しており、当初の計画以上に進展した面もある。他方、朝鮮人被爆女性たちの大半が高齢化しているため、口述証言の収集が予期した以上に困難であることも判明し、計画の一部を変更せざるを得ない面もあった。全体としてはおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題を推進する目標は次のとおりである。 ①日韓被爆朝鮮人に関する研究の歴史と動向'に関する研究論文発表。 ②広島被爆朝鮮人史に関する収集された資料の整理と分析。 ③李実根'朝被協'元会長の自叙伝韓国語出版。 ⑤広島朝鮮人史に関する韓国語解題集出版。 本研究課題が逢着した問題の第一は、朝鮮人被爆女性の高齢化に伴う口述証言の収集の困難性である。これに対しては、広島朝鮮人女性が過去に残した文書化された証言の資料の調査と収集を徹底化する。第二は、北朝鮮被爆者の問題に対する情報不足である。これに対しては、北朝鮮被爆者を直接会った日本の政治家や日本社会運動家、そして李実根と'朝被協'の証言や研究資料を補充する。
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