2015年度の研究実績は次のとおりである。 (1)李実根『プライド 共生の道~私とヒロシマ』の韓国語訳及び韓国の出版社から出版、2015年7月、ノンヒョン出版社 ) 広島県朝鮮被爆者協議会(1975年結成)の初代会長である李実根の日本語の自叙伝(『プライド 共生の道~私とヒロシマ』汐文社、2006年)を韓国語訳したもの。李実根は日本敗戦後の在日朝鮮人解放闘争に参加し、1950年代の8年間は獄中にあった。その間、祖国と日本の政治状況は大きく変わり、朝鮮戦争は53年に停戦したが祖国は南北に分断された状態が固定化し、日本では55年に朝鮮総連が創立された。出獄後の李は朝鮮総連に依拠して民族運動に挺身し、やがて広島県朝鮮被爆者協議会を結成した。1978年には在日朝鮮人として初めて米国ビザを取り第1回「ニューヨーク国連軍縮総会」に参加し、世界に朝鮮人被爆者問題を発信した。さらに朝鮮人被爆者の証言採録や出版・教育運動を行い、1980年代にはジュネーブ、ニューヨーク、ドイツなどで高まる反核運動と連携した。また、1989年以後は朝鮮民主主義人民共和国在住の被爆者支援や日朝原爆被害者交流を進めた。さらに1979年から現在まで「被爆者代表から要望を聞く会」(毎年8月6日に開催)に参加し、在外被爆者問題全体の解決を日本政府に建議し続けている。 (2)『広島朝鮮人被爆者協議会40年の歩み-資料集』1-40、2015.7. 広島県朝鮮人被爆者協議会の創立40周年を記念する資料集である。2015年は広島朝鮮人被爆者協議会の結成40周年であった。本資料集は、広島朝鮮人被爆者協議会40年の歴史が込められた資料集である。広島朝鮮人被爆者協議会の活動が一目でわかるよう年表を作り、教育に活用できるようにしたもの。
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