研究課題/領域番号 |
13F03302
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
池田 証壽 北海道大学, 文学研究科, 教授
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研究分担者 |
賈 智 北海道大学, 文学研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | 日本古辞書 / 唐代の字体規範 / データベース / 原本調査 / 開成石経 |
研究概要 |
平成25年度は、文献調査によるデータベース構築および分析することに軸足をおいた。 まず、受入教員の研究課題(「大規模漢字集合フォント対応のデータベース構築による平安時代漢字字書研究」、研究課題番号 : 「20176093」、基盤研究(C))の本研究と関連する部分(天治本『新撰字鏡』など)を担当し、原本を活字に起こしていく作業を行った。今後は主にそれをデータベースとして研究を進める。 次に、本研究では、奈良時代末期から平安・鎌倉時代に編まれた仏典音義に見られる字書記述を調査対象とする。これは主に種々の日本写本に頼るところが多いので、高山寺、京都国立博物館、宮内庁書陵部で原本調査を行う必要がある。そのため、3月19日-22日に、石塚晴通名誉教授(北海道大学)をはじめとする調査団と同行し、受入教員の指導の下に高山寺所蔵の原本資料(主に日本写本)に調査を行った。 また、唐代の字体規範の実態を探るために、開成石経に調査を行う必要がある。そこで、去年の10月から、「開成五経字様」「開成新加九経字様」の見出し字の字形を、「開成易経」「開成孝経」「開成論語」の本文の字形に照らすことによって、「開成五経字様」「開成新加九経字様」が開成石経の字体規範を明示するものとして、その末尾に附刻されていることを最終的に証明した。これにより、唐代の字体規範の実態を知ることができ、本研究を展開していくための重要な手がかりとなる。なお、調査を行った際に、国際学会を通して面識のある西原一幸教授(日本・金城学院大学)にレビューを依頼し、その結果は今年中に公開する予定である。 最後に、研究を進めていくために、自己の研究について成果発表することは欠かせない。そのため、3月1日に、第272回中国文藝座談会(九州大学中国文学会、於九州大学)で、「仏典音義における唐代字様の利用について―『新訳華厳経音義私記』を中心に―」を題にして、研究発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
計画どおり、文献調査によるデータベース構築および分析を行っただけではなく、開成石経に調査を行うことによって、唐代の字体規範の実態を知ることができ、その調査結果は、漢字字体規範史研究に対して積極的な意義を持っているためである。
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今後の研究の推進方策 |
まず、現存する字様の形態について調べていく。現存する字様(主に敦煌本)は大英図書館、フランス国立図書館に分蔵されているため、現地で原本調査を行う必要がある。そのため、6月に石塚晴通名誉教授(北海道大学)をはじめとする調査団と同行し、受入教員の指導の下に大英図書館(6月2日-6日)、フランス国立図書館(6月9日-13日)所蔵の原本資料に調査を行う予定である。 また、唐代の字体規範の実態を探るために、開成石経に調査を行う必要がある。開成石経は中国・陕西省博物館(西安碑林)に全石が保存されており、現地で調査することを計画している。
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