研究課題/領域番号 |
13F03305
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
荒川 正晴 大阪大学, 文学研究科, 教授
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研究分担者 |
BAI Yu Dong 大阪大学, 文学研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | シルクロード / ウイグル文書 / 帰義軍 / 敦煌文書 / 契丹 / 西夏 / 吐蕃 / 莫高窟 |
研究概要 |
渡日後、計画どおりに大阪大学東洋史学の西域漢文ゼミ・出土文書ゼミ・古代トルコ語ゼミ・合同演習に出席している。11月23日に、大谷大学で開かれた古代モンゴルの遺跡に関する研究会に出席し、モンゴル国考古研究所元所長のオチル先生をはじめとする方々から、有意義なアドバイスを頂いた。12月中旬に東洋文庫にて、サンクトペテルブルグ所蔵ウイグル文命令文書SI2Kr17・SIKr IV256のマクロフイルムを調査し、新しい読みができた。1月から二週間に一回のペースで「遼史を読む会」に参加し、ウイグルと契丹の関係に関して、改めて検討をしている。また、1月末に大阪大学東洋史学西域出土文書ゼミで敦煌出土文書の発表を行った。上記研究成果をベースに、前期研究の継続として、(1)原稿「沙陀突厥的建国与九姓達靼」(中文)を中国のメジャー学術雑誌『中国史研究』に投稿し、内部審査を通って、現在外部審査中である。(2)3月23日に日本遼金西夏研究会にて「遼西北辺部族于厥考」という題目で発表をし、すでに完成してある原稿をやや修正して近頃日本の学術雑誌に投稿する予定である。(3)原稿「沙州帰義軍政権大中五年入朝路再釈」(中文)は中国のメジャー学術雑誌『内蒙古社科』2013年第4号に刊行予定である。今は、ウイグル文書を中心に、ウイグルのマニ教改宗に関して、漢籍史料を中心に、1040年前後における宋・ウイグル・チベット三者による対西夏連盟に関して、研究をしている。 上記研究成果は、上掲研究課題の基本になるものを再整理したものである。そのための一連の作業は計画の達成に必要なものである。とくに、研究会・学会に参加して、多くの方と触れ合いする機会を得、数多くの方からアドバイスを頂いたことは、今後の学術調査、研究達成にたいへん役立つと思う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
以下、3つの理由による。1. 沙州ウイグル問題に関して、1040年前後における宋・西ウイグル王国・吐藩三者による同盟を物語る漢籍史料を発見。2. ウイグルの文化宗教伝播に関して、ウイグル文書「牟羽可汗改宗記」を新たに読んでいるが、順調に分析が進んでいる。3.10世紀のオテュケン地方と西ウイグル王国との関係を考察するには、新資料になりうるウイグル語文書断片を発見して、現在解読中である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は主に、1. 主にウイグル文書史料を利用して、ウイグルのマニ教改宗とそれの河西地方との関係についてまとめる。2. 沙州ウイグルについて、漢籍史料、ウイグル棒杭文書を利用して、話をまとめる。3. 西ウイグル王国と漠北地方との関係について、把握してある史料を中心に検討する。4. 中国実地で調査して入手したウイグル文字銘文史料を利用して、ウイグル人の移動を検討する。
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