研究概要 |
注意機能の中で、私たちが処理しなければならない情報以外の情報の処理を抑える機能、すなわち干渉制御機能は極めて重要である。この機能は高齢化に伴い低下する。また発達障害の人々ではその機能が低いことが報告されている。しかし、干渉制御機能とほかの能力、例えば認知実行機能などとの関係も未解明である。 今年度は、私たちは、まず、健常者の干渉制御機能を複数の干渉制御課題(例えば、ストループ・逆ストループ課題、Navon課題、Garner課題など)を用いて研究することによって、課題間の関係を明らかにした。次に、発達障害の人々を対象に干渉制御課題を実施し、その結果を健常者と比較することによって、発達障害のタイプによってどの干渉課題において健常者との差が認められるのかを調べた。健常者の干渉制御課題と認知実行機能課題のデータを得ることによって、発達障害の人々のデータと比較する対照群データを得るとともに、各干渉制御課題間の類似性、干渉制御課題と認知実行機能の関係を明らかにした。研究結果によって、書いた論文は、Journal of Behavioral and Brain Science誌に掲載された。また、これの研究によって、発達障害の様々なサブタイプ(自閉症、ADHD, 学習障害など)の診断に役立つ測定ツールの開発と干渉制御向上のための訓練の可能性について検討したい。
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