研究実績の概要 |
今年度は二つの実験を実施しました。
(1)視角が異なるNavonパラダイムを用いて、健常児と注意障害多動障害(ADHD)の子供におけるNavon効果の差について実験しました。異なる視角の複合パターンで、ADHD児におけるNavon効果を調べたところ、全条件でNavon効果が欠如していることが明らかになりました。グローバル処理の障害はADHD児の確固たる特徴といえます。本知見は国際誌「Neuropsychology」に投稿し、受理されました。(SCI 5-Year IF= 4.134, JCR ranking: 17/74 in Psychology, Q1)。 (2)機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いて、種類の異なる干渉制御間の関係性について、干渉制御の責任部位を明らかにする実験を実施しました。ストループ効果と比べ、前頭葉(BA8, BA9, BA10)と前帯状皮質(ACC)は逆ストループ効果より敏感的であることが分かりました。ストループ効果と逆ストループ効果は心理的なメカニズムも神経的なメカニズムも違うことが明らかになりました。実験結果は国際誌「Behavioral brain research」に投稿し、査読に基づいて現在修正し、同誌に再投稿中です。
上記の研究結果は、干渉制御や発達障害の要因について新たな知識を提供し、本分野の研究を加速したといえ、大変意義があります。
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