研究課題
この2年間の研究は、太陽の様に表面に対流層を持つ恒星(太陽型と称する)の脈動データを活用して、太陽型恒星の構造の研究及びモデル作りを確実且つ高速に行う方法を開発することを目的としている。そのための最初のステップとして、恒星のモデル作りに最適化させた効率の良いマルコフ連鎖モンテカルロ法のアルゴリズムを開発することである。そのためには、脈動振動数スペクトルについて、モデルのパラメーター間に縮退が起きていることを考慮することが重要である。現在、こうしたアプローチを着実に推進中である。他に、(1)マックスプランク研究所(独)の研究グループと共同で、太陽型恒星の連星の脈動の研究、(2)シドニー大学(豪)の研究グループと共同で、2つの準巨星における、音波と重力波の混ざり合った混合モードの解析、(3)CEA(仏)の研究グループと共同で、太陽に極めて類似した恒星の星震学を進めている。また、新たに、太陽系外惑星の親星の脈動を解析することを始めた。これは、惑星系の形成や進化の理解につながるものと考えている。惑星の公転については、ロシター効果を観測することで親星の赤道面と惑星の公転面の成す角度を推定することが出来るが、更に、親星の脈動を解析する事により、親星の自転軸と視線との成す角度を求め、親星の自転軸と惑星の公転軸との3次元的な幾何学的関係を決めるという研究である。幾つかのシステムについて、解析が進んでいる。
2: おおむね順調に進展している
特別研究員は来日して間もないにも拘らず、来日前の仕事を仕上げながら新たな研究に着手し、また、議論を進めるうちに当初の計画にはなかった研究も関心を示して新たに開始した。いずれも着実に進展している。
恒星のモデル作りに最適化させた効率の良いマルコフ連鎖モンテカルロ法のアルゴリズムの開発を引き続き進める。また、当初の計画にはなかったが、系外惑星の親星の脈動の解析を行い、惑星の公転軸と親星の自転軸との間の幾何学的関係他を組織的に決定していき、統計的議論が出来る様にする。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)
ApJ
巻: 781 ページ: id. L29
10.1088/2041-8205/781/2/L29