本研究では,アレイ解析的手法(震源逆投影法(back projection method)等)を用い,遠地地震の震源破壊の様子を準リアルタイムで解析・決定するシステムを構築し,地震発生後の早期に震源破壊伝搬の詳細を解析し,結果をWEB等で順次公開し災害予測等に資することを目的としている.具体的には,Hi-netのデータをリアルタイムで解析するシステムを構築し,テストを重ねる.Hi-netを使った解析システムが完成した後には,地震研究所内の計算機に実装し,解析結果をWEB等でテスト公開する.また同じシステムを日本外のアレイ観測網にも適用し,日本周辺の地震についても同様の準リアルタイム解析が行えるようにする.
最終年度のH27年度は,地震研所内でリアルタイムシステムのテスト運用を行うと共に,研究成果を論文にまとめることをおこなった.研究の当面の成果として,2013年に起きたパキスタン地震の震源逆投影法解析の結果を国際誌に投稿し採択された.また震源逆投影法の新たな手法を開発し,論文として国際誌に投稿した.リアルタイム解析システムについては,テスト運用を継続的に進めつつ,結果のまとめを国際誌に投稿する予定である.手法としては,一定のレベルまで構築が出来たので,実用運用にあたってしかるべき機関との検討などを進める必要がある.また国際的な研究協力を進めていくことも検討事項として今後に残されている.
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