研究課題/領域番号 |
13F03327
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
山崎 大輔 岡山大学, 地球物質科学研究センター, 准教授 (90346693)
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研究分担者 |
FEI Hongzhan 岡山大学, 地球物質科学研究センター, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | リングウッダイト / 転位 / 流動特性 |
研究実績の概要 |
リングウッダイトはマントル遷移帯の下部を主要に構成しており、この流動特性を理解することは地球深部ダイナミクスにおいて本質的なことである。マントルのような高温高圧下での固体流動において、転位クリープ機構は重要な変形機構であり、地震波速度の異方性などとも密接に関わっている。転位クリープにおいては、その変形速度は転位の移動に律速されている。そこで、転位の易動度を調べる実験を行った。 まず最初に、リングウッダイトの単結晶を合成した。転位の観察、特に転位密度の決定には、均質な転位分布、すなわち応力分布が必要となるため単結晶試料が鍵となる。そこで、22GPa、1800Kの条件で川井型マルチアンビル装置を用いて、出発物質に天然のオリビンを用い、合成した。その後、単結晶を高圧下で変形させ、結晶内部に転位を発生させた。さらに、この試料に対して、準静水圧下で高温高圧アニーリングを行い、転位の減少速度を、温度と組成(含素量)の関数として決定した。ここで、転位の観察には、TEMを用い、含素量の定量にはFT-IRを用いた。その結果、温度依存性を表す活性化エンタルピーは、およそ360 kJ/molと求められた。この値は、Siの自己拡散係数の温度依存性よりも小さく、むしろ酸素のそれと近い値である。このことは、転位の移動には、Siと酸素の両方の拡散が寄与していることを表している。また、予備的な結果であるが、含水量に対する転位の移動の影響が観察され、含素量が大きいほど、転位の移動が早いことが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
下部マントルとその上位層を主要に形成するペロフスカイトとリングウッダイトの転位易動度を実験的に明らかにすることが目的である。現在までにリングウッダイトに関する実験は大体終了し、信頼性の高いデータが得られつつある。そのような観点から、おおむね進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、リングッダイトに関して得られたデータの解釈とまとめを行って行くとともに、ペロフスカイトに関する実験を行っていく。高圧実験の部分では、これまでおこなった実験手法を発展応用することで問題なく行えると考えている。一方、電子線に弱いペロフスカイトの観察に関しては、新たな手法の確立、例えば冷却ステージの導入など、が必要となるかもしれない。
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