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2014 年度 実績報告書

脳内にsiRNAを送達する高分子ミセルの創製とアルツハイマー病の標的治療への展開

研究課題

研究課題/領域番号 13F03349
研究機関東京大学

研究代表者

片岡 一則  東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00130245)

研究分担者 ZHENG Meng  東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード高分子ミセル / siRNA / 血液-脳関門 / ニューロン
研究実績の概要

脳は高度に発達した生体バリア(血液-脳関門(BBB))に守られているため、生理活性物質の送達が困難な部位である。そのため高齢化社会では脳神経系疾患の有病率が極めて高い一方で、それらの多くに対しては効果的な治療アプローチが見出されていない。受け入れ研究者のグループは脳血管内皮細胞に多く発現する特定受容体を介して効率的にナノ医薬品を脳実質部に送達する新規ナノ材料・方法論を開発している。昨年度までに上記の特定受容体を効率的に認識するリガンドを表層に有する直径70 nmほどのsiRNA封入型高分子ミセルの構築に成功した。
本年度は、更に高分子ミセル構造体の創り込みを行った。具体的には温度応答性の三元系共重合体を調製し、ミセル形成時の温度を精密にコントロールすることで、既存のsiRNAキャリアよりもはるかに血中安定性の高い直径30 nmのミセル構築に成功した。この高分子ミセルの体内動態を評価したところ、高い脳への集積性が確認され、さらに脳神経系疾患を治療するにあたって、代表的なターゲットとなるニューロンへの取り込みにも成功した。そこでアルツハイマー病の病院タンパク質であるβ-セクレターゼをノックダウンする配列のsiRNAを封入した高分子ミセルを調製し、対象タンパク質の活性を評価したところ、全脳において30%ノックダウンすることに成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

従来、核酸医薬を脳にデリバリーし、脳内で機能させることは困難であった。一方で、本研究においては効率的にBBBを通過し、さらにアルツハイマー病の原因物質を30%近くノックダウンすることに成功した。これらの技術はアルツハイマー病に限らず、多種多様な脳神経系疾患に適応可能な汎用性の高い技術であり、多くの展開が期待できる。

今後の研究の推進方策

脳内においてアルツハイマー病の病因タンパク質をノックダウンすることに成功したことから、今後はアルツハイマー病モデルマウス(APP PS1マウス)を用いて、行動試験評価など実際の治療効果に関連する検討を行う。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2014 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] siRNA delivery from triblock copolymer micelles with spatially-ordered compartments of PEG shell, siRNA-loaded intermediate layer, and hydrophobic core2014

    • 著者名/発表者名
      H. -J. Kim, K. Miyata, T. Nomoto, M. Zheng, A. Kim, X. Liu, H. Cabral, R. J. Christie, N. Nishiyama, K. Kataoka
    • 雑誌名

      Biomaterials

      巻: 35 ページ: 4548-4556

    • DOI

      10.1016/j.biomaterials.2014.02.016

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Precise engineering of siRNA delivery vehicles to tumors using polyion complexes and gold nanoparticles2014

    • 著者名/発表者名
      H. -J. Kim, H. Takemoto, Y. Yi, M. Zheng, Y. Maeda, H. Chaya, K. Hayashi, P. Mi, F. Pittella, R. J. Christie, K. Toh, Y. Matsumoto, N. Nishiyama, K. Miyata, K. Kataoka
    • 雑誌名

      ACS Nano

      巻: 8 ページ: 8979-8991

    • DOI

      10.1021/nn502125h

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Precisely regulated nanoarchitecture comprised of gold nanotemplate and unimer polyion complex for systemic delivery of siRNA2014

    • 著者名/発表者名
      M. Zheng, H. -J. Kim, H. Takemoto, K. Miyata, K. Kataoka
    • 学会等名
      3rd Symposium on Innovative Polymers for Controlled Delivery (SIPCD 2014)
    • 発表場所
      Suzhou, China
    • 年月日
      2014-09-16 – 2014-09-19
  • [備考] 片岡研究室HP

    • URL

      http://www.bmw.t.u-tokyo.ac.jp/

URL: 

公開日: 2016-06-01  

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