研究課題/領域番号 |
13F03352
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
吾郷 浩樹 九州大学, 先導物質化学研究所, 准教授
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研究分担者 |
SOLIS-FERNANDEZ Pablo 九州大学, 先導物質化学研究所, 外国人特別研究員
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キーワード | グラフェン / グラフェンナノリボン / CVD / 配向エッチング |
研究概要 |
グラフェンは非常に高いキャリア移動度を示し、光透過性と機械的柔軟性を有することから、電子デバイスへの応用に向けた研究が活発に行われている。集積回路や高周波トランジスタ、センサーなどの半導体として応用するためにはグラフェンのバンドギャップを開く必要があり、グラフェンナノリボン(GNR)と呼ばれる一次元ナノ構造体がバンドギャップを開くことができる手法として期待を集めている。本研究課題は、金属ナノ粒子によるグラフェンシートのエッチング反応を利用して、このGNRを高密度に作製する技術を開発し、フレキシブルデバイス等へ展開していくことを目的としている。 平成25年度においては、銅を触媒とした化学蒸着法(CVD法)により大面積の単層グラフェンシートを合成し、これを単結晶基板に転写して金属ナノ粒子の高温反応を利用して直線状にエッチングすることでナノリボンを作製することを試みた。表面異方性を有する単結晶サファイアr面基板に単層グラフェンを転写し、スパッタリング法で堆積したNiナノ粒子を触媒として用いることで、サファイアの異方性に沿った特定の方向にグラフェンを高密度にエッチングできることを見出した。実験条件の検討を通じて平均で20nm程度の非常に幅の狭いGNRを高密度・高配向に得ることができた。さらに、高配向GNRを絶縁酸化膜付シリコン基板に再転写し、電界効果トランジスタを作製して電気特性を評価したところ、高密度のGNRにおいてon/off比が5000の半導体特性を得ることもできた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画では、平成25年度において高配向GNRの合成を目的としており、それに成功している。さらに、平成27年度上半期に予定していたGNRの化学修節による特性制御について、前倒しで検討を始めており、論文・学会発表も行うことができている。
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今後の研究の推進方策 |
今後、高配向グラフェンナノリボンについて、化学修飾の影響をラマン分光とデバイス評価を通じて、さらに詳細に調べていく予定である。グラフェンナノリボンの電子物性に与える影響は全く調べられておらず、今後はこういった新たな観点でフレキシブルデバイスとの関連付けながら検討していく計画も考えている。また、本研究はグループ内だけにとどまらず、国際的なネットワークを活かした共同研究を積極的に行ってより高いレベルでの研究を進めていくことを目指す。
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