研究課題
グラフェンは、高い移動度と光透過性、機械的柔軟性といった特徴をもつことから、フレキシブル/ウェアラブルデバイスや高周波デバイス、センサーなどといった多様な応用研究が活発に行なわれている。一方、グラフェンがバンドギャップを持たないことがこれらの応用研究の妨げになっている。本研究は、バンドギャップを開くためにグラフェンナノリボンをトップダウンで調製する方法を開発すること、そしてそれを用いてデバイスを作製して、優れた特性を得ることでグラフェンデバイスの可能性を示すことを目的としている。前年度までの研究では、金属ナノ粒子の異方性エッチングというユニークな手法を用いることで、グラフェンシートからグラフェンナノリボンを高密度かつ高配向に作製する方法を開発した。さらに、この高配向グラフェンナノリボンの化学修飾による電気特性の制御について研究を行い、極性制御に有効なドーパント物質を特定した。当該年度は、グラフェンの極性制御をさらに発展させ、より高度な制御方法の開発を主眼とした研究を行なった。グラフェンの電子状態を化学ドーピングで制御する研究は既に多数あるが、これを動的に制御する方法は知られていなかった。我々は、様々な検討を行い、ピペリジン分子でグラフェンを化学修飾することによって、グラフェンのドーピングレベルがゲート電圧で動的に制御できることを初めて見出した。具体的には、n型ドーパントであるピペリジンをグラフェン表面に吸着させ、それにゲート電圧をかけることで、電荷中性点をチューニングすることを可能にした。このドーピング制御は可逆であり、グラフェンの光エレクトロニクスや不揮発性メモリ等への応用の新たな方向性を示すものと期待している。この他にも、グラフェンシート内のグレイン構造の可視化やフレキシブル歪みセンサーに関わる研究にも携わり、グラフェン合成・応用の基礎的研究にも寄与した。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件) 備考 (1件)
ACS Nano
巻: 10 ページ: 2930–2939
10.1021/acsnano.6b00064
巻: 10 ページ: 3233-3240
10.1021/acsnano.5b05879
http://www.astec.kyushu-u.ac.jp/ago/index.html