研究課題/領域番号 |
13F03354
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
寶 馨 京都大学, 防災研究所, 教授
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研究分担者 |
AKPABIO Emmanuel M. 京都大学, 防災研究所, 外国人特別研究員
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キーワード | 公衆衛生 / 環境健康 / 水 / ナイジェリア人 / 移民 |
研究概要 |
アフリカから欧州(英国)への移者の生活の場や環境健康の知識・経歴がどのように英国において計画され再現されていくのかを理解することを目的として、平成25年度の半年間は、ナイジェリア住民の自国及び英国での環境健康の信仰・概念・規範・態度・知識と環境健康の行動の様々な要素を見出し比較することに主眼を置いて研究を行った。特に、過去何年も継続または変化した概念、現実的な信仰、知識はどのような要素で、それはなぜか、ということを理解するために、水、公衆衛生、精神衛生、健康の間の概念や関係について文化的観点に着目した。個人あるいはコミュニティーのレベルでの水・公衆衛生・精神衛生と健康との関係の境界領域の文化的観点にしぼって、これらの問題の周辺で形成される、地方独特の土着的な概念・知識、信仰、規範、態度、行動反応が、英国においても再現されるためのメカニズムや駆動力について、概念構築と文献調査を行った。空間・時間を超えてその実際を維持する地方の社会経済的、制度的、環境的ダイナミクスについても対象とした。 平成25年12月4日には、グローバル生存学ワークショップ(京都大学楽友会館)において「文化的観点から見た環境健康問題 : 欧州に在住するナイジェリア人の研究」について研究発表を行った。平成26年3月5~8日には、Nexus2014水・食料・気候・エネルギー会議(米国ノースキャロライナ大学水研究所)で「ナイジェリアにおける社会的空間的不平等としての水問題の理解 : 文化・経済・社会制度の相互作用」と題して研究発表を行った。さらに、3月25~28日には、オーストラリア・ブリスベーンで行われた「水、公衆衛生、衛生学(WASH)に関する研究ワークショップ」に参加し、研究に関連する情報収集・研究討議を行った。また、3編の論文を学術雑誌に投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初設定していた4つの課題のうち、最初の7ヶ月の目標としていた1番目の課題(1)ナイジェリア住民の自国及び英国での環境健康の信仰・概念・規範・態度・知識と環境健康の行動の様々な要素を見出し比較すること。特に、過去何年も継続または変化した概念、現実的な信仰、知識はどのような要素で、それはなぜか、ということを理解するために、水、公衆衛生、精神衛生、健康の間の概念や関係について文化的観点に着目する、を順調に行うことができた。日本、米国、オーストラリアにおいて研究の構想と成果の一部を発表する機会を得た。また、3編の論文を学術雑誌に投稿した。
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今後の研究の推進方策 |
研究の方針・計画は予定通りに進めて良いと考える。すなわち、以下の(2)~(4)を行う。 (2)個人やグループの環境健康の知識に特に関連した継続性や変化の様相を維持したり形作る主要なダイナミクス、駆動力、広い文化的特徴を理解する方法として、各人の個人的な社会経済的経歴や具体的な経験、住民としての経歴、民族的宗教的所属、移住状況、制度的背景などを特徴づけることを試みる。(3)個々の環境健康の知識、方向性、実際が如何に周知、維持または修正されるのかということについて知見を得るための方法として、通信情報共有のオプションやネットワークの連絡の様々な相互のチャンネルとメカニズム考調べる。(4)健康と健康管理の実際と再建の医学的・生態学的位置づけに関する実験結果の理論的及び実際的な意味合いについて議論する。
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