設計初期段階におけるグリーンビルディングデザインのリファレンスとなるモデルを提供する設計手法の構築を目的とし、遺伝的アルゴリズム(GA)による最適化手法と計算流体力学(CFD)・ビルディングエネルギーシミュレーション(BES)による建築物の環境性能の定量的な評価手法の融合によって、建築物の存続期間の環境性能変化を考慮する上での最適な外観デザインの導出を試みた。具体的な研究方法と内容は以下に述べる。まず、風環境及び省エネ効果、各々の環境性能を最適にするデザインの導出手法を別建てにする。 i) 風通しを考慮した建築物の幾何学的な形状の最適設計手法を作成した。最適化手法としてはGAを用い、設計変数(建築物の形態や向き及び敷地内での配置)の変化による風通しの良否をCFDにより定量的に評価した。ii) 同じく、GAを用いて省エネ指向の設計案の最適化を行った。最適化の目的である環境性能としてはエネルギー消費量を採用し、BESを用いた数値解析によって外観デザイン(建築物の幾何学的な形状及びエンベロープデザイン(外壁レイヤーの構成や窓の面積やガラスの種類))の変更に伴うエネルギー消費量変化を評価した。iii) i)とii)で構築した要素技術の融合により、複数の環境性能の相互作用やトレードオフの考慮可能な多目的最適化を行い、グリーンビルディングの実現のためのリファレンスとなる外観デザインを導出した。
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