研究課題/領域番号 |
13F03369
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大月 敏雄 東京大学, 大学院工学系研究科, 准教授
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研究分担者 |
SHAKYA Lata 東京大学, 大学院工学系研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | 共用空間 / 管理システム / 参加メカニズム / 中庭空間 / ネパール / 歴史都市 / パタン / カトマンズ |
研究概要 |
本研究では、ネパールの歴史都市における共用空間の継承に向けて、中庭型集住体の共用空間である「中庭」の管理問題に着目し、共用空間の管理において、管理システム(所有、利用、管理の主体関係)を把握した上で、主体の管理参加のメカニズムについて解明し、都市化に対応した管理システムの再編の条件を探ることを目的とする。 平成25年度は短い期間(11月末~3月)になるため、研究環境を整えること、日本国内における事例のレビューおよび発展途上国における国際的研究関連の文献・資料などのレビューをし、現地調査計画に努めることを重視した。日本国内における事例のレビューとしては大月研究室で行われている、桂が丘団地における共用空間の管理において、現地訪問や居住者の方々とのワークショップに参加し、共同的空間管理の実態について把握した。 また、対象地であるネパールのパタン旧市街地の街区においては、時系列での共用空間の管理の参加メカニズムを把握するため、1934年の大震災時の被害状況と中庭空間の利用状況について当時の震災を経験している高齢者を対象にインタビュー調査を行った。その結果、中庭空間は震災後の居住者の1ヶ月にも及ぶ避難場所であったことが明らかになった。また、中庭空間は中庭側の居住者だけではなく、近隣の道路側の居住者の避難生活を送る場所でもあり、中庭での共同生活が長期化していたことがわかった。さらに、日常は中庭空間を共同で利用しても、キッチンや食事は各家族が個別で行っている特徴も把握した。また、当時は対象地の中庭(イラナニ)では公園を建設しておらず、避難生活のためのテント張りに十分な空間があったが、現在は公園によって空間は分裂されている。今後は当時の共同の避難生活と共用空間の管理の実態の把握と同時に公園建設のきっかけから公園管理状況の実態により時系列での管理への参加メカニズムについて把握できるよう研究を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
25年度は日本での事例レビューのための現地訪問やワークショップ参加ができた。また、11月中旬における1934年の大震災後の避難生活と共用空間の利用に関する調査研究のを分析し、まとめることができた。その成果は2014年度日本建築学会大会にて発表をする予定である。
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今後の研究の推進方策 |
26年度はまず、中庭空間での共同の避難生活と当時の空間管理の実態の把握するためのヒアリング調査を行う。また、時系列に中庭空間の管理への参加メカニズムを把握するため、対象地のイラナニ中庭の公園に着目し、公園建設のきっかけから現在にいたる、管理主体の変遷について把握する。 一方で、都市化が著しいカトマンズ市の旧市街地における対象地の選定を行い、そこでの空間管理の状況について把握する。
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