研究課題
平成25年度は短い期間(11月末~3月)になるため、研究環境を整えること、日本国内における事例のレビューおよび発展途上国における国際的研究関連の文献・資料などのレビューをし、現地調査計画に努めることを重視した。また、対象地であるネパールのパタン旧市街地の街区においては、時系列での共用空間の管理の参加メカニズムを把握するため、1934年の大震災時の被害状況と中庭空間の利用状況について現地調査を行い、中庭空間は震災後の避難場所であったこと、長期化した避難生活は共同生活であったことが分かった。平成26年度は都市化による変化が著しいカトマンズの中心市街地の三つの中庭型集住体を対象に現地調査を行った。①Ta Bahaと②Yatkha Baha中庭は50件以上の住宅と僧院建物で囲まれた中庭であるが、その半数以上は移住者の貸し部屋として利用されている。それぞれの中庭には居住者組織が存在し、住宅を店舗化しないこと、清掃、井戸の飲水の配布など中庭の管理におけるルールが存在し、一定のコントロールがみられた。一方、③Thamel周辺の中庭(Kwa Bahaとその裏中庭)は観光地の近くに位置する中庭である。観光地として賑わう場所で、商人組織が共同で清掃・警備など居住者組織以外も管理に参加している様子が見られた。しかし、一時、住宅地が居酒屋(Dance Bar)などの増加に悩まされたこともあり、居住者組織によって撤去されたケースもあった。一方、裏中庭の場合はオーナが不在の貸し部屋の居住者が持家の居住者と連携がなく、清掃のルール守らないなど課題がみられた。今後はさらに追加調査を行い、管理参加のメカニズムを明らかにする予定である。
2: おおむね順調に進展している
26年度は時系列での共用空間の利用・管理について把握するため、パタン旧市街地における1934年大震災時の中庭空間の利用状況について現地調査を行い、当時の中庭での共同生活について明らかにした。27年度は都市化が著しいカトマンズ市の中心旧市街地における三つの地域を選定し、踏査調査、居住者の特徴、中庭の管理参加の状況などについて有識者を対象としたインタビュー調査を行うことができた。それぞれの地域における居住者組織による管理ルールの存在に加えて、地域によっては特殊的な組織(商人の組織)の管理の参加などについても明らかになっている。
今後は追加現地調査を行い、より詳細的な管理体制について把握する。そして、パタン旧市街地での管理体制との違いを把握すること、またそれらを基に管理への参加メカニズムを明らかにする。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)
Revisiting Kathmandu, Safeguarding Living Urban Heritage, The proceedings of international symposium that took place in the Kathmandu Valley between 25 to 29 November 2013, UNESCO
巻: The proceedings ページ: pp.229-240
歴史都市防災論文集
巻: 8 ページ: pp.203-210
日本建築学会 学術講演梗概集
巻: 2014年(都市計画) ページ: pp.1085-1086