研究課題/領域番号 |
13F03380
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
巌佐 庸 九州大学, 理学研究院, 教授 (70176535)
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研究分担者 |
JUSUP Marko 九州大学, 理学研究院, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 間接互恵 / 内集団びいき / 道徳の対立 / マイクロファイナンス / 社会/生態系結合モデル / DEBモデル |
研究実績の概要 |
ユスップ博士は昨年前半はカリフォルニア大学サンタバーバラ校のRoger Nisbet教授らと共同研究をすすめ、Dynamic Energy Budgetモデルとよばれる、生理学と生態学を結びつけたモデリングを行い、マグロ個体群に対してすすめてきた。すぐれた成果があがっている。 これとは別に、巌佐および立命館大学経済学部教授の松尾匡先生との共著にて、人間に普遍的にみられる内集団びいきの広がりに関する数理的研究をすすめた。それは他人に対してよいとかわるいといった評価をくだして社会で評価し、それに応じて協力/非協力を選ぶとすることで、高い協力レベルが安定に維持されるとする制度である。これを集団の外と交易を行いタイプとそれを拒否するタイプの2つの道徳システムがあるとし、いずれが占めるかを考えるものである。その結果、いずれの道徳でも社会の協力を高くたもてるが、共存はできないことと、まざったときに非協力者が全部を占める結果になるとする結果をえた。また交易による利益が高いほど、相手に寛容な道徳が広がる条件が広くなるという結果がえられた。Journal of Theoretical BiologyおよびPLoS Computational Biolodyに論文が掲載された、 加えて、李貞憲助教や巌佐、クロアチアの物理学者らとともに、マイクロファイナンスの安定性に関する全く新しいモデリングをおこなった。論文は投稿して審査中である。 これらは、生態系管理に関する重要な理論的業績といえる。ユスップ博士の理論展開能力と数理的解析能力は」すばらしい。今後数ヶ月を残すばかりになったが,良い研究成果をあげてくれると期待している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
上記の研究概要に着いて記したように、ここにきて予想以上に研究成果があがっている。複数の論文を刊行し、PlScomputationalBiology,Journal of TheoreticalBiology, Deep See research, PLoS SONEなどに掲載されたが、現在投稿中の論文も数編ある。博士の研究遂行能力、とくに物理学的な解析、経済学のゲーム理論の解析,加えて生態学モデリングの力など驚くべき幅広さ、知らない分野にも興味をもちオリジナルな研究成果を挙げる力などにより、生物資源のロバスト管理のための生態モデリングにおいて、2つの規範の間での対立を間接互恵に基づいて解析が行えた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度までの成果をうけ、環境問題解決の糸口として、マイクロファイナンスの安定性についての論文執筆を行う。また、中国の生態/社会科学研究グループと共同で、協力進化に関する実験社会科学と理論モデルを展開し、論文にまとめる。
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