研究課題/領域番号 |
13F03387
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
日下部 宜宏 九州大学, 農学研究院, 教授
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研究分担者 |
ZHU Li 九州大学, 農学研究院, 外国人特別研究員
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キーワード | カイコ / 遺伝子ノックイン / クロマチン / ゲノム編集 / NHEJ修復 |
研究概要 |
昆虫ゲノムの編集において、高頻度で相同組換え(HR)を介した遺伝子ノックインを誘導するためには、HR修復と二者択一的に機能している非相同末端結合(NHEJ)を抑制する必要がある。他生物において、NHEJ修復経路には幾つかの副経路があることが報告されているが、カイコにおいて、これらの各副経路に関わる因子は明らかになっていない。そこでまず、カイコNHEJ関連因子ホモログ(BmKu70、BmKu80、BmXRCC4、BmXLF、BmLIGI、BmLIGIII、BmLIGIV)、およびHR関連因子ホモログ(BmBrca1、BmBrca2、BmRad50、BmMre11、BmNBS1、BmRad51、BmMDC1、BmSae2、BmATR、BmATM)のクローニングを終了し、遺伝子機能阻害実験に向けたdsRNA合成用の鋳型を構築している。遺伝子の役割を解析するために、各遺伝子の機能阻害細胞におけるNHEJ経路への影響、及びNHEJ経路を抑制した際にHR修復経路に与える影響を解析するが、新規にNHEJ活性測定用のアッセイシステムを構築必要があり、細胞内で任意の2重鎖切断を誘導し、NHEJ修復が起こると細胞質に局在していた緑色蛍光タンパク質が核内赤色蛍光高タンパク質にスイッチする細胞の作製がほぼ完了している。 昆虫個体におけるゲノム編集においては、染色体の任意の箇所を切断する必要がある。当研究室ではTALENが使用実績はあるが、構築の簡便さから本研究にはCRISPERの導入を行っている。現在、small RNA関連因子であるTUDOR-SNを標的としたCRISPER対応のGuide RNAを4種作製し、カイコ培養細胞BmN4において有効性の確認を行っている。3種のGuideRNAについてはCAS9発現ベクターとともに導入することによりゲノムの特定部位が高効率で切断されることを確認している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
NHEJとHR関連遺伝子については17遺伝子のクローニングを終了しており、計画の20種程度は達成で来ている。新規NHEJ活性測定用アッセイシステムも基本的な動作チェックは終了しており、実際の遺伝子機能阻害実験を行える状態になっている。遺伝子ノックインについてはCRISPERの有効性が確認できたため、個体を用いた実験に移行する準備をしている。
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今後の研究の推進方策 |
研究を遂行する上での問題点は特にない。 今後は、新規NHEJ活性測定用アッセイシステムを用いた修復2経路関連遺伝子の機能同定とNHEJ経路抑制時のHR修復経路への影響を解析する。 遺伝子ノックインについては個体でのCRISPER導入に向けて、効率的なCAS9の発現方法を検討するとともに、まずは、遺伝子ノックアウトの効率を測定する。
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