研究実績の概要 |
イネアルミニウム耐性転写因子ART1の活性化機構を明らかにするために、前年度はART1のN末端にFlag-Hisタグを付けて、art1変異体に導入した。しかし、アルミニウム耐性が相補できなかったため、今年度はART1のC端に同じタグを付けて、art1変異体に形質転換した。その結果、art1変異体のアルミニウム耐性が回復した。しかし、形質転換植物からART1を抽出してFlagとHisの抗体による免疫沈降を行った結果、ART1タンパク質が検出できなかった。現在、複数タグをつけたコンストラクトを構築していて、art1に導入する予定である。 一方、根と基部節から構築したcDNAライブリーを用いて、酵母ツウハイブリッド法により、ART1と相互作用するタンパク質のスクリーニングを行った。その結果、11種類のタンパク質候補を得たが、そのうちの5種類はBowman-Birk proteinase inhibitor (RBBI)ファミリーに属していた。RT-PCRでそれらの遺伝子の発現を調べた結果、RBBI2-1, RBBI2-2は根での発現がなく、RBBI3-1, RBBI3-2と RBBI3-3の発現はアルミニウムによって誘導された。しかも、art1変異体でこれらの遺伝子の発現が高かった。 ART1とRBB3-1- RBBI3-3との相互作用を確認するために。RBBI3-1, RBBI3-2 ,RBBI3-3のC末端にGFPを付けて、無細胞系でタンパク質を合成させた。Flagタグ付けのART1とpull-downアッセイした結果、3種類のタンパク質ともART1と共溶出された。現在RBBI3-1, RBBI3-2 ,RBBI3-3の破壊株を作出して、アルミニウム耐性における役割を調べるところである。
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