研究課題/領域番号 |
13F03389
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中山 二郎 九州大学, 大学院農学研究院, 准教授
|
研究分担者 |
RAVINDRA Pal Singh 九州大学, 大学院農学研究院, 外国人特別研究員
|
キーワード | クオラムセンシング / ウェルシュ菌 / スクリーニング / アンタゴニスト / ドラッグデザイン / 環状パプチド / デプシペプチド |
研究概要 |
近年の研究から、単細胞生物である細菌も、細胞間でコミュニケーションをとり、社会集団性をもって生育していることが明らかになってきた。その中でも、細胞外シグナル分子をコミュニケーションシグナルとして、同種菌細胞密度を知らせ合いながら、集団生活に必要な遺伝子の発現をコントロールする機構をクオラムセンシング(QS)と呼ぶ。病原菌の多くは、このQSを病原因子の発現制御に使用し、宿主に効率よく感染し増殖するシステムを備えている。特に、ファーミキューツ門の病原細菌は環状ペプチドを自己誘導因子(AIP)としているものが多い。本研究では、近年、食中毒やガス壊疽で問題となるウェルシュ菌のQSを効率よく阻害し、その病原性を抑制するQS阻害剤の創製を目標としている。まず、放線菌および糸状菌の抽出物のスクリーニングを行った。その結果、放線菌培養液から精製された既知の環状デプシペプチド2種がウェルシュ菌のQSを阻害することが判明した。活性の詳細は現在検討中である。同時に、ウェルシュ菌のALPの構造を基にしたAIPアンタゴニストペプチドのドラッグデザインも遂行した。その結果、弱いながらもQS阻害活性を示すペプチドを得ることに成功した。現在、さらに複数のAIPアンタゴニストの候補ペプチド約10種を合成している。それらの活性と構遊の機能相関を詳細に解析し、より活性の強いアンタゴニストペブチドを創製していくことを計画している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究を開始してからわずか半年間であるが、すでに、QS阻害剤候補となる物質を、天然物ライブラリーからは化合物を、ドラッグデザイン法からは1ペプチド得ることができており、順調に進行している判断する。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでと同様に、QS阻害剤について、天然物からのスクリーニングとドラッグデザインの両輪で展開していく。活性評価のアッセイにノーザンハイブリダイゼーション法に替わりリアルタイムRT-PCRを導入し、活性評価を定量的かつ簡便に行える実験系を構築し、スクリーニングの働率化も図ることを計画している。
|