研究課題
ウェルシュ菌Clostridium perfringensは5アミノ酸残基からなる環状自己誘導ペプチドAIPCpによりVirS-VirR二成分制御系を制御し、毒素であるpfoA遺伝子を菌密度依存的に制御している。本研究では、このウェルシュ菌AIPCpのアンタゴニストをデザインして、ウェルシュ菌の生育には影響を与えず毒素産生性のみを抑制する抗感染症薬の開発を目指した。まず、AIPCpのシステイン以外のアミノ酸を一つずつアラニンに置換し、そのアゴニストおよびアンタゴニスト活性を調べることで、AIPCpの受容体の結合に重要な残基および受容体の活性化に重要な残基を特定した。その結果、3残基目のトリプトファンが受容体結合に重要で、4残基目のフェニルアラニンが受容体の活性化に重要なことが判明した。また、2残基目のロイシンと5残基目のスレオニンのメチル基がそれらの活性を補助していることが示唆された。これらの構造活性相関情報から、3つのアンタゴニスト候補ペプチドをデザインし、化学合成し、QSI活性を調べた。そのうち2つのペプチド、Z-AIPCp-L2A/T5A、Z-AIPCp-W3F/F4Wは低濃度ではアンタゴニスト活性を示したものの、マイクロモーラー以上の高濃度ではpfoAの発現を誘導するアゴニスト活性を示す、パーシャルアゴニストであることが判明した。一方、Z-AIPCp-F4A/T5SはIC50 = 720 nMで0.01 mMでもAIP活性を示さない完全なアンタゴニストであった。今後、このZ-AIPCp-F4A/T5Sをリード化合物としてドラッグデザイン研究を進展させていくことで、さらにQSI活性の強いアンタゴニストを得ることができると期待される。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Advances in Microbiology and Infectious Diseases and Public Health
巻: in press ページ: in press
DOI 10.1007/5584_2016_1
FEMS Microbiol Lett
巻: 362 ページ: 1-9
10.1093/femsle/fnv109
巻: 362 ページ: 1-7
10.1093/femsle/fnv188