研究実績の概要 |
近赤外分光分析は、当該光の高い透過性に着目し、対象物からの拡散反射光等から統計解析で情報を抽出することにより、内部品質を非破壊で予測する手法である。本研究では、食肉を試料として研究を行い、応用範囲の広い、可視近赤外分光分析による肉類品質の非破壊判定法について検討した。 2 cmの厚さの牛肉および豚肉をハイパースペクトルカメラで撮影した。光源は150 Wキセノンランプと150 Wタングステン-ハロゲンランプの混合光源、光センサーは12ビット(4096諧調)の精度で光の強弱を判定できるCCDカメラ、分光器は透過型回折格子、レンズは16 mmのものを使用した。全ての光学部品は光学ベンチにて固定した状態で試料をカメラ撮影するため、試料、光源、光センサーの幾何学的位置関係が常に不変である。これは、再現性の高い計測データを得るために有効であった。 400~1,000 nmの波長範囲の分光反射/吸収データを5 nmごとに取得し、Savitzky-Gorey法によって二次微分に変換した。当該処理により、ベースライン変動の影響が除去され、光吸収バンドが明確になった。 スペクトルデータ解析には統計解析ソフトウエア「The Unscramblae ver. 10.3(カモソフト㈱)」を用いた。部分最小二乗回帰分析により国際照明委員会CIELABのL*、a*、b*値をそれぞれ決定係数0.92、0.73、0.93、交叉検証最小二乗誤差0.93、0.51、0.97の精度で予測可能であった。また、牛肉への馬肉の混合割合(2~98%)の非破壊判定を試みた結果、決定係数0.98、交叉検証最小二乗誤差2.23%の精度で判定可能であった。本成果は、牛肉偽装問題の防止に貢献できると考えられる。
|