【研究の目的】 近年、乳酸菌やビフィズス菌に代表されるプロバイオティクスの中でも腸管免疫調節機能性を発揮するイムノバイオティクスが注目され、飼料・食品における発展的利用性が期待されている。そこで、本研究では、家畜腸管上皮細胞におけるイムノバイオティクスやイムノジェニクス(イムノバイティクス由来の活性因子)の腸管免疫調節機構解明と抗ウイルス感染免疫選抜・評価システムを基礎として、抗ウイルス免疫調節性イムノバイオティクスを選抜・評価し、飼料・食品免疫学的利用性を追究することを目的とする。本年度は、ブタ腸管上皮(PIE)におけるロタウイルス感染系を用いて、イムノバイオティクスおよびイムノジェニクスの効果について評価し、RNA感染モデル系において、抗感染免疫調節機構について検討した。
【研究成果】 1.PIE細胞のロタウイルス感染系における評価:PIE細胞をイムノバイオティクスあるいはイムノジェニクスで前刺激後、A群ロタウイルス株を暴露させ、ウイルス感染・増殖性について、間接蛍光抗体法により解析したところ、ロタウイルス感染・増殖性の抑制が認められた。2.PIE細胞のdsRNA感染モデルにおける抗感染免疫評価:PIE細胞をイムノバイオティクスあるいはイムノジェニクスで前刺激後、Poly(I:C)で刺激後、抗ウイルス性サイトカインおよび炎症性サイトカインの遺伝子発現を測定したところ、I型IFNの発現増強と炎症性サイトカインの発現抑制が認められた。さらに、それらは細胞内シグナル因子の調節に関連することが示唆された。 以上の研究により、抗ウイルス免疫調節性イムノバイオティクスやイムノジェニクスの選抜・評価が可能となり、飼料・食品免疫学的利用性が飛躍的に進むものと期待される。
|