研究課題
ステロイド合成細胞における細胞時計がステロイド合成を制御する分子機構を解明する。すでに我々は、生体時計が全く止まった哺乳類初のリズム消失マウスCry-nullを用い、時計が、副腎皮質球状層でプレグレノロンをプロゲステロンにするHSD3Bが時計に制御されるclock-controlled gene (ccg)であり、Cry-nullではこの過剰発現により高アルドステロン血症を呈し、食塩感受性高血圧を来すことを解明した。今回、このccgである酵素Hsd3b6の特異抗体を作製し、この分布を誌食べたところ、皮脂腺、副腎皮質球状層、精巣、胎盤にこの発現を発見した。しかし、副腎皮質束状層、卵巣には認められなかった。この事実は、HSDのサブタイプのうち、このサブタイプはステロイド全細胞に存在するのでは無く、細胞特異的に発言することが分る。我々はさらにヒトへのトランスレーション研究を進めるため、ヒトHSD3Bのtypelとtype2を識別できるアイソザイム特異的モノクローン抗体の開発を行って、原発性アルドステロン症の二大病型であるアルドステロン産生腫瘍(APA)と過形成である特発性アルドステロン症(IHA)を調査したところ、IHAでは球状層にHSD3B1が強発現し、APAではHSD3B2が高発現することを見出した。つまりこれら時計機構と密接にリンクするエンザイムの制御不全がヒトにおいても原発性アルドステロン症の直接の原因となる可能性が高いことがわかったのである。さらに、Bma11-/-, Clock-mutantなどの時計の欠損したマウスを用いて、ステロイド産生臓器における細胞代謝と生理の概日時計による制御機構を探索した。
2: おおむね順調に進展している
ステロイド合成酵素HSD3Bステップの解明は順調に行っており、他の系についても進展している。
予定通りに進める。HSD3Bについては、予測以上に進展しているので、コンディショナルノックアウトに関しても、準備、調整する。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
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