研究課題
Gタンパク質共役型受容体(GPCR)の2量体化と下流のシグナル分岐機構は、ほとんど分かっていない。最近の我々の研究によって、GPCRに属する3つの型のオピオイド受容体 (ミュー、デルタ、カッパー型)がホモダイマーとヘテロダイマーを作ることが分かってきた。いずれも、寿命は短く、80~120ミリ秒程度であり、ダイマーは形成されてもすぐにモノマーへと解離し、モノマーは、またすぐにダイマーを形成する。すなわち、モノマーとダイマーは極めて動的な平衡状態にある。本年度の研究では、以下を明らかにした。(1)昨年度に開発に成功した、超長時間1分子追跡の方法を用い(通常の10倍長く、1分子イメジングが継続できる)、オピオイド受容体が、EBP50と過渡的相互作用することを見いだした。(2)EBP50 分子は、細胞質から細胞膜の細胞質側表面へとリクルートされ(何らかの膜分子に結合して)、しばらく拡散運動した後に、EBP50と過渡的な相互作用をした。また、EBP50がアクチン膜骨格に結合して静止したところに、オピオイド受容体が短時間結合するという過程も観察された。(3)3種類のオピオイド受容体を用いて、ヘテロダイマー形成に関与する部位を同定することに成功した。すなわち、オピオイド受容体のN末の40アミノ酸と最初の膜貫通ドメインがヘテロダイマー形成をになっていることを見いだした。これは、受容体のアミノ酸を様々に改変し、また、これらの部位のアミノ酸配列をもつペプチドを合成して添加して見いだしたものである。また、C末の細胞内部分がホモダイマー形成に関わることを見いだした。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Mol. Biol. Cell
巻: in press ページ: in press
10.1091/mbc.E15-04-0186
Nat. Chem. Biol.
10.1038/NCHEMBIO.2059