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2014 年度 実績報告書

軟骨細胞分化の運命決定と関節防御ーCCN3分子機能の新局面

研究課題

研究課題/領域番号 13F03412
研究機関岡山大学

研究代表者

滝川 正春  岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (20112063)

研究分担者 JANUNE Danilo  岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 外国人特別研究員
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード軟骨 / CCN3/Nov / 変形性関節症 / 発現誘導 / 細胞外マトリックス / 低出力超音波パルス / プロテオグリカン / テネイシン
研究実績の概要

(1)まず、10週齢ラットの膝関節腔にモノヨード酢酸(MIA)を注入して変形性関節症を誘発させ、免疫組織染色にてCCN3の発現とその局在を調べたところ、正常な膝関節と比較して、MIAにより変形性関節症を誘発した膝関節では染色性の低下~消失の見られた領域、つまり、プロテオグリカンが少ない領域では、CCN3タンパク質は検出出来なかった。一方、軟骨修復機転とされている軟骨細胞クラスターではCCN3の存在が確認出来た。
(2)次に、piggyBacトランスポゾンシステムにてHAタグ付きヒトCCN3(rCCN3HA)をドキシサイクリン誘導性に発現するベクターを構築し、ラット関節軟骨初代培養細胞に導入し、同細胞がコンフルエント状態になったところで、ドキシサイクリン4μg/mLを添加してCCN3を誘導し、二週間後にRNAを回収して、リアルタイムPCRおよびアルシアンブルー染色を行った。その結果、関節軟骨細胞に特異的な遺伝子であるTenascin-CとLubricinのmRNAが上昇し、軟骨共通マーカーであるCollagen Type 2のmRNAが上昇した。更にプロテオグリカンの蓄積量も増加した。
(3)低出力超音波パルス(LIPUS)がラット変形性関節症モデルでCollagen Type 2の発現を上昇させることが報告されているため、7週齢ラットの膝をLIPUS処理し、4時間後に大腿骨膝関節軟骨からRNAを抽出し、リアルタイムPCRにてCCN3mRNAの変動を調べたところ、対照(対側大腿骨膝関節軟骨)と比べ、LIPUS処理を受けた膝関節軟骨の方ではCCN3mRNAが上昇した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

正常な関節軟骨に存在するCCN3が、MIAにより変形性関節症を誘発した軟骨では、軟骨細胞外マトリックスが減少した部位では消失し、軟骨修復機転と考えられる軟骨クラスターには存在すること、また、CCN3が関節軟骨培養細胞の細胞外マトリックス産生を促進することを明らかにした。つまり、CCN3が関節軟骨において軟骨防御効果があることを示唆するデータを得た。今後、CCN3が変形性関節症に対する防御効果を示す直接的な証拠、即ちin vivoでの実験結果を得ることが出来れば、本研究の目的を果たすことが出来る。

今後の研究の推進方策

1) IPUSがin vivoでCCN3発現を上昇させることを見いだしたので、モノヨード酢酸(MIA)による変形性関節症の誘発をLIPUSで防御出来るかどうかを明らかにする。
2) piggyBacトランスポゾンでrCCN3HAの発現を誘導するシステムを構築したのでこれを用いて、関節軟骨初代ペレット培養細胞において軟骨形成を促進するか否かを調べる。
3) これらの間接的証拠だけではなく、直接的証明として、CCN3がMIAにより誘導される変形性関節症に対し防御効果を有することを明らかにすべく、ヒト組換えGST-CCN3を適切な徐放性を有するgelatin hydrogelを徐放剤として選択し、MIAと共にラット膝関節腔へ投与し、MIAによる変形性関節症の誘発を防止するか否かを、組織学的に調べる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2015 2014 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] CCN family protein 2 (CCN2) promotes the early differentiation, but inhibits the terminal differentiation of skeletal myoblasts2015

    • 著者名/発表者名
      Nishida T, Kubota S, Aoyama E, Janune D, Lyons KM, Takigawa M.
    • 雑誌名

      J. Biochem.

      巻: 157 ページ: 91-100

    • DOI

      10.1093/jb/mvu056

    • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Assessment of the regenerative effects of CCN2 independent modules on chondrocytes in vitro and osteoarturiritis models in vivo.2014

    • 著者名/発表者名
      Abd El Kader, T., Kubota, S., Nishida, T., Hattori, T., Aoyama, E., Janune, D., Hara, E. S., Ono, M., Tabata, Y., Kuboki, T., Takigawa, M.
    • 学会等名
      第37回日本分子生物学会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2014-11-25 – 2014-11-27
  • [学会発表] CCN2は筋芽細胞の初期分化を促進するが、後期分化を抑制する。2014

    • 著者名/発表者名
      西田 崇、久保田聡、青山絵理子、ダニーロ ジャヌネ、カレン ライアン、滝川正春
    • 学会等名
      第87回日本生化学会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2014-10-15 – 2014-10-18
  • [学会発表] The regenerative effect of CCN2 independent modules on chondrocytes in vitro and osteoarturiritis models in vivo2014

    • 著者名/発表者名
      Abd El Kader, T., Kubota, S., Nishida, T., Hattori, T., Aoyama, E., Janune, D., Hara, E. S., Ono, M., Tabata, Y., Kuboki, T., Takigawa, M.
    • 学会等名
      第6回CCNファミリー研究会
    • 発表場所
      岡山
    • 年月日
      2014-08-30
  • [備考] 岡山大学 歯学部先端領域研究センター

    • URL

      http://www.dent.okayama-u.ac.jp/arcocs/

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公開日: 2016-06-01  

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