研究課題
本研究では、InGaAs/AlAsSb量子井戸におけるサブバンド間遷移(ISBT)に起因する超高速位相変調効果を用いた全光ゲートスイッチの研究開発を行っている。特に、超高速光位相変調効果が発現する光非線形光導波路と干渉計光回路などのパッシブな光回路を高光結合効率をもたせて集積化して、従来型と比較して小型かつ低エネルギー動作が可能な光ゲートスイッチデバイスを実現することを計画している。さらに集積型光スイッチを用いた超高速光信号処理動作の実証を計画している。このような小型光スイッチデバイス実現に向けて各種の集積化の要素技術を開発する必要がある。平成26年度は、昨年度に引き続き、窒化シリコン(SiN)を用いたパッシブ導波路とISBT光非線形導波路を垂直方向に積層して集積化した光スイッチ構造を実現するための要素技術として、SiN積層型マイクロディスク共振器の設計と試作を行った。バス導波路とマイクロディスクを積層方向に光結合した新規の構造を作製することに成功した。共振器の特性として、Q値が10000以上、消光比20dB以上の性能を実現した。さらに二つのディスク共振器を縦方向にカスケード結合した構造を作製し、波長フィルターとしての特性(バスバンドのフラット性、フィルタエッジの急峻性、消光比)を改善することが可能であることを実証した。一方、超高速全光論理演算回路の実現に向けて、これまで開発したマイケルソン干渉計型光スイッチを全光論理ゲート素子として動作することを実証した。10Gb/sのRZ信号光AとBを素子の干渉計各アームに入力すると、各アームにBPSK(Binary Phase Shift Keying)信号が発生する。このBPSK信号の干渉条件を調整することにより、入力した2つの信号に対して排他的OR(XOR)、論理和(AND)の出力光動作が可能であることを実証した。
2: おおむね順調に進展している
ISBT光非線形導波路を垂直方向に積層して集積化したISBT光スイッチ構造を実現するための要素技術として、SiN導波路ディスクフィルターの開発や超高速論理演算処理の実証に成功したことより、計画はおおむね順調に進捗している。
おおむね順調に進捗しており、今後も計画通り行う。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
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