本研究では、InGaAs/AlAsSb量子井戸におけるサブバンド間遷移(ISBT)に起因する超高速位相変調効果を用いた全光ゲートスイッチの研究開発を行っている。特に、超高速光位相変調効果が発現する光非線形光導波路と干渉計光回路などのパッシブな光回路を高光結合効率をもたせて集積化して、従来型と比較して小型かつ低エネルギー動作が可能な光ゲートスイッチデバイスを実現することを計画している。さらに集積型光スイッチを用いた超高速光信号処理動作の実証を計画している。このような小型光スイッチデバイス実現に向けて各種の集積化の要素技術を開発する必要がある。平成27年度は、これまでハイブリッド集積化研究で開発してきたSi導波路等およびSiNのパッシブ部の要素技術を利用してセンシング等、光機能の高度化へ向けた光集積回路の応用研究を行った。TE/TMの両偏波を用いるISBT非線形導波路と干渉計等のSi導波路光集積回路とのハイブリッド集積化において、必要となるSi導波路偏波スプリッターを開発した。具体的には方向性結合器の結合部分を非対称スロット導波路とする新たな構造を提案し、その基本動作を実証した。SiN導波路による光集積回路の応用を実証した。すなわちリング共振器を用いた高Q値屈折率センサーを開発した。導波路をペデスタル構造とすることにより、検出対象の液体と導波路もれ光との相互作用を増強し、感度を上げることに成功した。247nm/RIU(Refractive Index Unit)と比較的大きな検出感度が得られた。以上の成果は、国際誌2件において発表した。
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