トリプルネガティブ乳がんは、ホルモン受容体(エストロゲン受容体とプロゲステロン受容体)陰性かつHER2過剰発現のない乳がんの一種で、乳がん全体の10~20%を占める。本疾患は、悪性度が極めて高く治療選択肢が限られているため、新たな治療法の開発が強く望まれている。そこで本研究は、セルベーススクリーニングおよびターゲットベーススクリーニングの両アプローチにより、理研天然化合物ライブラリー(NPDepo)からトリプルネガティブ乳がんに対する新規抗がん剤シードを見出すことを目的とした。本年度は主にセルベーススクリーニングで得られたヒット化合物の作用機構解析を行った。主な結果を以下に示す。 1. トリプルネガティブ乳がん細胞に強い増殖阻害活性を示すNPD700を見出し、MorphoBaseプロファイリングおよびChemProteoBaseプロファイリングにより、その標的分子がtubulinであり、tubulin重合阻害剤として作用することを明らかにした。 2. トリプルネガティブ乳がん細胞に強い増殖阻害活性を示すNPD4649を見出し、MorphoBaseプロファイリングおよびChemProteoBaseプロファイリングにより、その標的分子がDNA topoisomerase Iであることを明らかにした。 3. トリプルネガティブ乳がん細胞に強い増殖阻害活性を示すNPD971を見出し、MorphoBaseプロファイリングおよびChemProteoBaseプロファイリングにより、その標的分子がHSP90あるいはproteasomeであることが示唆された。
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