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2013 年度 実績報告書

オオムギにおける小穂非脱落性遺伝子の進化

研究課題

研究課題/領域番号 13F03513
研究機関独立行政法人農業生物資源研究所

研究代表者

小松田 隆夫  独立行政法人農業生物資源研究所, 作物ゲノム研究ユニット, 上級研究員

研究分担者 DAI F.  独立行政法人農業生物資源研究所, 作物ゲノム研究ユニット, 外国人特別研究員
キーワードオオムギ / 遺伝子 / 進化 / 栽培他
研究概要

小穂脱落性とは麦類野生植物の成熟した種子が地面へ分散する性質のことである。ムギ類では野生種の小穂脱落性が栽培化過程で徐々に失われ、非脱落性個体が占める割合が徐々に増加し、最終的に現在のような栽培種が完成した。ムギ類脱落性から非脱落性への移行は今から一万年ほど前に開始され、数千年間のあいだ連続したゆっくりとしたプロセスあることが最近の考古学的研究によって示唆されている。
本年度はオオムギで単離された小穂脱落性遺伝子を世界各地のオオムギ品種ならびにオオムギ祖先野生種から単離し、遺伝子のコード領域および非コード領域の塩基配列を解読し、遺伝子多様性の比較、連鎖不均衡の解析、遺伝的組換えの検出、そして小穂非脱落化のパターンの解明をおこなった。また栽培オオムギにおいて小穂が非脱落化した原因突然変異を同定することに成功した。
既知の小穂脱落性遺伝子に加えて新たな小穂脱落性遺伝子を探索するためや野生オオムギの変異源EMS処理によって新たな変異集団の作成を開始した。材料に用いた野生オオムギOUH602は強い種子休眠性を持っている事で知られている。無処理の25%発芽率に比較して過酸化水素水H202の3回反復処理によって80%程度の発芽率を得る事に成功した。0,12.5, 25,50,100 mMのEMS濃度処理によって発芽率は92%から0%へ低下した。大規模集団作成のために30,35,40mMのEMS濃度処理をおこなったところ、発芽率は89.7%, 35.4%, 21.0%であった。発芽した植物は個体別に栽培し、種子稔性の調査と種子採取をおこなうところである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

遺伝子のコード領域および非コード領域の塩基配列を解読し、遺伝子多様性の比較、連鎖不均衡の解析、遺伝的組換えの検出、そして小穂非脱落化のパターンを明らかにした他、新たな小穂脱落性遺伝子を探索するためや野生オオムギの変異集団を作成する事が出来たため。

今後の研究の推進方策

ムギ類の共通祖先で小穂脱落性遺伝子が出来た過程を解析する。イネとムギ類の脱粒性機構は形態的に異なっている。ムギ類以外のイネ科植物はイネ型の脱粒性機構を持っている。従ってムギ類(Triticeae)はその姉妹群であるカラスムギ(Aveneae)等から分岐したあとで小穂脱落性の機構を獲得したはずである。そこで、かなり困難ではあるが小穂脱落性遺伝子のゲノム進化過程を明らかにするとともにこの小穂脱落性遺伝子の生物学的機能を解明する。

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公開日: 2015-07-15  

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