プロテオミクス解析技術による冠水下のダイズの生物フォトン放射機構の解明を目指し、ダイズにおける冠水ストレスの生物フォトン放射に対する影響を、細胞内小器官の精製およびゲルフリープロテオミクス解析技術を用いて明らかにした。精製効率の高いミトコンドリア精製技術を確立し、ゲルフリープロテオミクス解析技術を用いて、冠水下で変動するタンパク質群を解析し、生物フォトン放出に関与する鍵酵素を同定した。 (1)冠水ストレス下のダイズ根において、カタラーゼ、スーパーオキシド・ジスムターゼ、ペルオキシダーゼ類、脂質過酸化反応、過酸化水素、アスコルビン酸ペルオキシダーゼ、スーパー・オキシド・ラジカル、ヒドロキシル・ラジカルなどの活性酸素種の効果を同定した。冠水ストレス下で、上記の活性酸素種を使用して放出される生物フォトンを同定した。 (2)冠水ストレス下のダイズの根からミトコンドリア画分を精製する方法を確立した。免疫ブロット法と指標酵素分析評価法を使用することで精製ミトコンドリア画分の精製効率が高いことを証明した。ゲルフリープロテオミクスの技術を利用して、冠水下のダイズ根において変動するミトコンドリアのタンパク質群を解析した。 (3)生物フォトン放出の酵素分析評価法を使用することで、冠水ストレス下のダイズにおいて、生物フォトン放出に関与する候補タンパク質(フマラーゼとグルタチオン-S-トランスフェラーゼ)を同定した。 (4)冠水ストレス下でジャスモン酸を添加することにより、生物フォトン量が変動することを明らかにし、プロテオミクス解析により、関与している酵素群を示唆した。
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