研究実績の概要 |
1)カロテノイドの合成・分解に関わる遺伝子を制御する上流因子が存在すると仮定し、その単離を酵母1-hybrid法で試みbHLHを単離したが、これ以上の解析は時間不足で行うことができなかった。 2)モモでは、アントシアニン合成系の最後の段階であるUFGT が律速であることが明らかとなった。3種類のMYB遺伝子(PpMYB10.1, 10.2, 10.3)について、果皮での発現解析、タバコへの導入試験等から、PpMYB10.1の発現パターンがアントシアニンの集積のそれと一致し、鍵となる転写因子であることを示した。また、PpMYB10.1は、bHLHとともにUFGTのプロモーター領域に作用してUFGTの発現を活性化することが明らかとなった。さらに、PpMYB10.1には、「あかつき」のような着色品種で機能するタイプ(MYB10.1-あかつきタイプ)と、「もちづき」のように赤くならないモモに存在しているアントシアニン集積を制御する機能の無いタイプ(MYB10.1-もちづきタイプ)があることが分かった。そこで、日本のモモ23品種について、その果皮でのアントシアニン集積程度とPpMYB10.1のアレルの構成について関係を調べたところ、色付きの良い品種(「あかつき」、「白鳳」、「日川白桃」、「川中島白桃」、「浅間白桃」等)では、機能のあるMYB10.1-あかつきタイプをホモで保有し、中間的な着色を示す「白桃」、「瀬戸内白桃」等では機能のあるMYB10.1-あかつきタイプと、機能の無いMYB10.1-もちづきタイプをヘテロで、そして着色しない「もちづき」等は、機能の無いMYB10.1-もちづきタイプをホモで持つことが明らかとなった。これらの成果は将来の果皮色の選抜マーカーの構築に役立てることができる。
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