研究課題/領域番号 |
13F03518
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研究機関 | 公益財団法人微生物化学研究会 |
研究代表者 |
柴﨑 正勝 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所, 所長
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研究分担者 |
GANESH Venkataraman 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所有機合成研究部, 外国人特別研究員
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キーワード | 不斉合成 / アリルシアニド / 3級アルコール / ニトリル |
研究概要 |
本研究計画では、我々が開発したアリルシアニドを求核剤とするダイレクト型触媒的不斉付加反応の基質的範囲の抜本的拡大を目指し、触媒系の再構築と改良を図る。2-アセチルフランへのアリルシアニドのダイレクト型不斉付加反応により得られる4炭素増炭した不斉3級アルコールから、官能基変換によりジエノフィルを導入してフランとの分子内Diels-Alder反応により効率的な光学活性多置換デカリン中間体の合成を目指した。アリルシアニドの不斉付加反応に関し、ソフトルイス酸として従来用いてきたCu(I)以外の金属も積極的に探索し、配位形式の異なる金属、あるいは多核金属錯体からなる触媒系を探索することでより高い立体選択性を示す反応条件の同定を目指したが、Cu(I)を凌駕する結果は得られなかった。得られた付加体のシアニド部位の変換によるジエノフィル導入を目指したが、フランがその高い反応性のため多くの反応条件で種々の副反応を誘発し、困難を極めた。最適合成ルートとはずれるが合成容易なDiels-Alder前駆体モデル化合物を合成した、Diels-Alder反応および反応後の渡環エーテル部位の還元の検討を計画したが、モデル化合物においても望みのDiels-Alder反応の進行はみられなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Diels-Alder反応に用いる鍵中間体の合成が遅れており、新たな合成計画の立案が必要と言える。
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今後の研究の推進方策 |
現在までのところアリルシアニドの単純ケトンへのダイレクト型触媒的不斉付加反応の生成物の有効利用に苦慮している。本生成物の特徴は、不斉3級アリルアルコール、Z型alpha, beta-不飽和ニトリルである。本年度は、原料として2-アセチルフランを用いてアリルシアニドの付加反応を行い、フリル基を足がかりとするキラルトランスファー型Diels-Alder反応を駆使した2環性骨格の構築の可能性を模索する。立体選択的なメチル基の導入には、我々が開発したチオプロピオナミドのダイレクト型触媒的不斉アルドール反応を援用し、効率的な合成ルートの構築を目指す。
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